ふじのきさん家
2015.09.27(日)

地域の寄合所 ふじのきさん家

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ご応募ありがとうございました。

ふじのきさん家

墨田区にも寄合所と呼ばれる、地域の方が集まって交流できる場所が昔はたくさんあった。

だが、大型マンションの建設などにより、新しく入居する住民と昔からの地域住民とのコミュニティの力が弱まることで、そういった場所は徐々に減り、地域と住民の関りが徐々に希薄になっていってしまっている。

また一方で、区内の一部エリアでは、関東大震災と戦災の被災を免れた木造の建物が数多く残っており、そういった建物の多くは壊れやすく燃えやすい。そのため、昭和54年から30年間に渡って木造密集市街地の改善・整備への取り組みが進められてきたが、依然として300haを超える区域が木造密集街地として残っている。

ふじのきさん家

墨田区東向島にできた「ふじのきさん家」は、そういった地域の方の寄合所を目指し、この地域ならではの課題を住民を巻き込みながら解決しようとされています。

このふじのきさん家で、地域の方と交流しながら、カフェやイベントの運営をお手伝いしてくれるスタッフを募集しています。

ふじのきさん家

ふじのきさん家は、大通りを一本入った住宅地にある。
昔ながらの住宅が残る一方で、すぐそばには大きなマンションもあり、新しく引っ越してきた方と昔ながらの住民の方が、共存していることがよく分かるエリアだ。

ふじのきさん家

ふじのきさん家を運営・管理する団体「NPO法人燃えない壊れないまち・すみだ支援隊」の土肥さんと千葉さんにお話を聞かせていただいた。

「地元の二つの町内会と水戸街道沿いの商店街が一緒になって『東向二四地区まちづくりを考える会』というものが、5年前に立ち上がりました。その中でこの町内会には、身近に寄り合える町内会館のような場所がなく、寄合所が欲しいというテーマがかなり強く出ていました。一方で、街を安全にするのに道路を広げたり、建物を建て替えるのは簡単なことではなく、建物を改修して、町を安全にしていくため、防火性能を高める改修と耐震改修を併せて普及させたいということもあり、東京都の新たな公共支援事業を活用し、地元の篤志家の協力を得て、防火性能を高める改修と耐震改修を同時に行い、ここを寄合所としていこうということで、2013年3月30日にオープンしました。」

この建物は、元々事務所として使われていたが、その後空き家になっていたそうだ。
行政主導でこういった場所や団体ができるのはきわめて珍しい。

「一般的には、こうゆうのをやりたいと言ってNPOができますが、そうじゃなくて行政と一緒に地域に入ってどうしたらいいかって、考えながら作り上げていったという経緯があるので、そういった意味では町会が入るというのは珍しいと思います。地域の絆を考えると墨田区は町会は外せない繋がりの強い地域だと思います。」

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耐震耐火対策をされた建物ということで、建物の内部を見学させてもらったが、随所には補強された部分やあまり見かけない珍しい造りになったところが見られる。

「ここの特徴として1つは、普通の住宅では見られないものが誰でも見られるようにしているというところ。補強した部分とかって他人の家に行ってジロジロ見られないですよね。ここは昭和40年くらいの昔の骨組みに補強しているんですが、どうやったらできるんだろうってことを見て分かるように作っているんです。」

この建物も、実際に改修を始めて中を調べてみたところ、下を支える柱が溶けて全くなくいつ倒れてもおかしくない状態だったそうだ。それを耐震性としては安全なものにし、なおかつ内壁外壁に防火の材料を入れて燃え移らないし燃え広がらないという建物に改修した。

「もう1つが、防災を進める上で地域の絆とかネットワークがないといざという時、だれも対応できないということで、寄合いという機能を持たせようとしています。」

ここの入口は、大きな明るい開口部が取れており、室内が明るいだけでなく町としても明るくなっている。通常、面の部分に窓があると重さを支えられず、潰れやすくなってしまうため、耐震性を考えると前面の窓を塞ぐ必要があるが、そうすることで町が暗くなってしまう。そこで、門型フレームとシャッターを組み合わせた新しい技術で、耐震性と防火性を確保しながら明るい建物に改修したそうだ。

「そうゆう新しい技術も取り入れて、要するに墨田らしい景観も防災性を高めながら作れるんじゃないかってことをやっています。」

ふじのきさん家

この柱も真ん中の部分が既存の柱で、その両端を補強していることがよく分かる。こういった取り組みはまだまだ珍しい例ということで、中学二年生の教科書でも掲載されることになっているそうだ。

また、これらの実際の改修作業にたくさんの地域の方が関わっていることも大きな特徴だ。

「月に1回、建築無料相談会というのをやっていて、墨田の建築家の専門の方が常駐してくれて、家の状況に合わせてアドバイスするということもやっています。きめの細かい助成制度もあるので、何も知らずに建て替えたり耐震化するよりも、こういったものが使えたりこうゆう風にしたりしたらいいんじゃないか、という最適なプランをご相談することができます。」

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今回、新しい方を募集されることになった経緯を教えてください。

「今働いてくださっている方は、最高齢で88歳です。その他の方も60代後半と、あまりにもご負担をかけるわけにはいかないということがあって、新しい方に来てもらいたいと思っています。特に飲食経験のある方が、今は一人もいないのでそういった方が来てくださるととてもうれしいですし、いろんなことに興味をもって取り組んでいただける方だといいなぁと思います。」

今はほとんどが地域の婦人部の方々が手伝ってくれているそうで、自分で好きにやるというよりは、そういった地域の方々と仲良く楽しくやっていってほしいそうだ。

「仕事仕事って凝り固まってしまうよりも、生きがい作りとか今までやってこられた経験を生かしながら、地域を一緒に盛り上げていきたいという方がいらっしゃるといいのかなと思います。」

「だから、ちょっとビジネス的なアプローチとは全く真逆なんですね。もちろん採算は取らないといけないんですが、今はむしろモチベーションというかみんなで作って行っている段階で、これから一緒に作っていく楽しさややりがいもあると思います。」

現在は、2週間に1回MTGが行われているので、まずはそこの様子を見てもらってからでもいいそうだ。

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カフェの運営を始めて2ヶ月。現在のスタッフは、全体としては8人。ローテーションで1日3名づつで運営されている。

「これまでは週3日しか開けてなかったり、ただ空いてるだけだったので、カフェを2015年7月28日にオープンしました。始めたばかりなのでまだまだ試行錯誤の真っただ中ですし、日々悩みながらやっています。」

カフェはどういった目的で始められたのでしょうか?

「カフェみたいなことをやらないとここは何をやってるところか分かってもらえない。覗いて終わりになってしまうんです。場所が大通りでふらっと入るような場所ではないので、カフェだったり知ってもらうためのイベントをやりながら、徐々に認知してもらって温めていきたいと思っています。」

子育て世代の取り組みやお子さんを生んで社会復帰していない方には、自分のやりたいことをイベントとしてやってもらうような使い方も可能なんだそうだ。もちろん、働く方はお子さんを連れて一緒に働くことも可能だ。

そういったいろんな世代の方が利用することで、地元との繋がりができるのもここで働く魅力だと思う。

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カフェの次には、こんなことも始めようとしていると、土肥さんが語ってくれた。

「これは、地元の建築家の方に作ってもらった家のミニチュアなんですが、所謂モノづくりですよね。お母さんたちは、ものすごく手の器用な方が多いので、手仕事で何か作ってもらって売っていくということをしようと考えています。これには、デザイナーの方にも関わってもらっていて、墨田区の産業振興課や地元の企業にも協力してもらおうと思っています。働くスタッフの方も一緒に新商品開発ができるので、地域に根差したモノづくりをやっていきたいという方なら、色々やれることはあるんじゃないかなと思います。」

「それに、モノづくりとか始めた時に編み物やったり手を動かしたりして、気軽におしゃべりできるような場を作っていったりとか、講座をやったりしたときに体を動かしたりして、みなさんまた来たいなって思ってもらいたいです。」

ふじのきさん家

ふじのきさん家の2階には、カラフルで明るい広々としたスペースが用意されており、様々な用途に利用することができる。

「2階もいろんな人に来てもらったり、イベントなどに使ってもらって、この寄合所を温めていくということを考えています。」

子育て中の方や認知症の方の講習会、着付け、親子イベント、いろんな方のお話し会などこれまでにもたくさんのイベントが開催されている。

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ここで働く安藤さんにも、お話を伺った。

「今で3年目になりますが、最初はどうなることかと思っていました。でも、徐々に慌てないでゆっくりやりましょうってことで始めたんですからね。だいぶ名前も知られてきたし、いろんな会合でもみなさんに声をかけていただくようになりました。みなさん熱心で私はついていけないんです。」

安藤さんは、この町会の副会長も務めており、立ち上げの時から関わっている。安藤さんに会いに来る方も多いそうだ。どんな方と働きたいんだろう。

「難しい質問ですね。私もこれまで働いたこともないし、生まれてこの方よそ様に働きにいったことがないんです。通勤もしたことがなければ、学校も歩いていけるところだし。すぐに結婚してしまって、ずっと家にいたから働きに行ってたらもっと違ったのかな。だから、こうやって今働けるのはうれしいことですよね。」

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さきほど紹介したお母さんたちの手作り製品は、安藤さんが実際に独学で作られたモノも多い。およそ10分くらいで作れるもので、こういった技術も若い方に伝えていきたいそうだ。

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千葉さんから見て、安藤さんや他のスタッフの方はいかがですか?

「安藤さんみたいな方は、この場所の生き字引なので、昔の話聞いたら何でも答えてくれますし、今のことも答えてくれます。そして、優しくてほんとにみなさんに慕われています。だから、もっともっと頼りたいし、引退してもらうのは早いと思いますが、やはりこういった方になるべく負担をかけたくないというのはあります。」

「接客もすごく上手で、お客さんがいらっしゃるとスムーズに会話に入って行かれるんですが、それがこの場の雰囲気にすごく合っているんですよ。」

新しい住民の方と昔からの方の交流が減っているだけでなく、安藤さんのような方と若い方が接する機会も少なってきている。

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この先、この場所はどんな風になって行ってほしいですか?

「高齢化していく社会で、最後まで人生を地域で過ごすための支える場所にここがなっていって欲しいと思います。」

「これからの社会は死ぬまで働く社会だと思うんですね。お金をもらうという意味ではなくて、社会に貢献するという意味で、社会に関わりながら何かをやっていく、死ぬまでやっていく社会になっていくと思います。その時にここの場所が役に立つ場所になって欲しいというのは私の願いですね。それまでにやれることをやって、ここが定着していったらいいですね。」

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インタビュー中に安藤さんに「こんなこと知らないわよね?」と何度か言われた。
恥ずかしながら知らないことばかりだった。
昔の人しか知らないこと、若い人が知らないことはたくさんある。

そういったことを、受け継いで次に伝えていって欲しい。
まだまだ始まったばかりのこの場所。だからこそできることはたくさんあると思う。

この地域と関わりたい、この地域をもっとよくしたいと思う方は、ぜひ応募してみてください。

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