科学技術への貢献 株式会社ミカミ
こちらの求人は募集が終了しました。
ご応募ありがとうございました。
決して表舞台には出ない仕事でも、必要とされる仕事がたくさんあります。
ものを製造する人がいれば、それを必要とする使う人がいる。そしてその間には、ものと人を繋げ販売する人がいる。
「我々の仕事は、決して目立つ仕事ではありません。しかし日本の科学技術、分析現場を支える最先端分野での仕事です。舞台は企業・大学、官公庁の研究所や分析、製造現場。主役は、研究者、分析者、品質管理者、製造管理者の皆様。裏方として、主役の皆様がベストな結果を出せる様、彼らの手足となってサポートをする黒子のスペシャリストだと自負しております」
ここにもまた、なくてはならない仕事があります。
ものを作るメーカーから製品を仕入れ、大学や一般企業の研究室に試薬や機材を提供している会社が株式会社ミカミです。
今回は、このミカミで営業をはじめとした仲間をサポートしてくれる、営業事務のスタッフを募集します。
墨田区東向島の株式会社ミカミは、国道6号線の大きな通り沿いにあります。
3階建ての建物の1階が会社で、ぱっと見た外観は会社というよりは、商店のような印象でした。
ここは、研究用の試薬や化学薬品、医薬品、動物用医薬品、理化学機材や分析機器、そして中古機械の販売といったサービスを行っています。
これだけ聞くとなんだか難しそう。
簡単に言うと、分析や研究に使う製品をメーカーから仕入れ必要とされている方に提供しています。つまり、メーカーとお客さんを繋げるパイプラインの役割を担う商社的な会社。
建物の中に入って、まず目に飛び込んできたのは棚に並ぶ専門的な薬品。在庫品種の多さは都内一とのこと。
ここに置いてある商品は、特によく出るほんの一部のみ。これ以外に扱う製品や機材は、全部でおよそ4万種類にも及ぶそうだ。
試薬や分析機器といったものは、一般の方にはあまり馴染みのない分野かもしれません。墨田区内でも似たような業種の会社は少ないそうですが、お話を聞くと年々業者が減っているのではないよう。大きな参入障壁があり新規の企業が参入しにくいからなんだそうだ。
「うちは創業以来無事故で来ていて、多くの薬品メーカーさんからも信頼をいただいています。メーカーさんは信頼のあるところ以外では、新たに卸先を作らないんです。資格をちゃんと持っていないといけなかったりもするので、参入がしにくい業界ではあります」
と、語るのは、代表の細貝さん。
募集のきっかけは、これまで経理業務などを細貝さんのお母さんが担っていましたが、年齢的なこともあって抜けられるため、その代わりとなるスタッフを求められています。
「子育てをされている方とか時間の融通を利かせたい方など、人それぞれ夢やご希望があると思います。まずはそういったことを叶えつつ、うちの仕事も頑張ってもらいたいと思います。そういったことを優先するのは、私が女性だから気持ちが分かるので、色んな部分で柔軟に対応できる環境にしたいと思っています」
今回募集する方は、1日3時間ほどの短時間勤務。主婦の方や子育て中の方、Wワークの方でもかなり融通が利くため、子供が熱を出して休みたいとか、入学式で日にちをずらして欲しいといったことも遠慮なく相談して欲しいそう。時間的な束縛がある方には安心して働ける環境です。
具体的な仕事内容を教えて下さい。
「パソコン打ちと情報探しがメインになります。基本的には決まったことなので、難しいスキルは必要ありません。ネット検索が出来るくらいで十分で、あとは一から教えます」
必要な経験などはありますか?
「特にありません。今いる社員もほとんどが未経験で一から勉強しています。ただ言いたいことは、うちは創業も歴史があり長く商売していますので、多くのお客様と長いお付き合いをさせてもらっています。当然働いてもらう方にも長く活躍してもらって、お客様とより良い関係を築いてもらいたいと思います」
株式会社ミカミは、創業68年になる。
元々、おじいさんの代で三上商店として立ち上げられた会社で、細貝さんは3代目になる。
細貝さんは、この会社に入る前、取引先である化学薬品の会社に2年間営業の修行に行き、25歳の時に入社。その後、35歳で社長に就任されました。
しかし、社長就任後は社長としてどう会社を進めたらよいのかわからなかったそうだ。
この業界は、企業が研究開発費を減らさない傾向が強く、会社として売上が落ちていたわけでは決してない。それにも関わらず、社長就任後は自分の道を見失ってしまったという。
「社長になった4年前は、若かったし何をしていいかさっぱり分からなかったので、自分の中でパニックになっちゃったんですね」
「業績は悪くないですが、急激な右肩上がりの時代じゃなくなり、これから人口も減り下がる一方なので、同じことをやってもだめだろう、どうにかしたいと藁にもすがる思いで、経営者仲間と繋がれるものを探して経営塾と出会ったんです。そこに入り1年間色んな勉強をさせてもらって、ようやく道筋が付いたかなと」
細貝さんが経営塾に入ったのは、社長になって2年目のことだったそう。
「きっと同じことをやっていれば必要はなかったと思いますが、絶対に潰れるなって思ったんです。ほんとに狭い業界で、分かりにくい分野で働いてるので、視野がすごく狭かったんですね。新しいことをやりたいと思っても、新しいことってなんだろうって。でも、他業種の経営者の方々が斜陽産業でもどんどんチャレンジされているのも目の当たりにし、すごく開けましたね」
具体的に入る前と入った後で変わったことってありますか?
「新しいことへの挑戦はあまり怖くなくなりました。やるしかないなと。やってだめだったら次を考えようって心持ちになりました」
採用の時に重視されているのはどんなところですか?
「最重要なのは、正直でコツコツ努力できることですね。今はマニュアルがあってそういった対応をする方が多いと思いますが、そうじゃない素直で正直、誠実な子を求めています」
お客さんは、日進月歩を争う研究開発現場で、常に真剣勝負で新しいことに挑戦をされています。その方々の手足となるためには、真っ直ぐに問題と向き合いすぐに動く必要がある。そして、できるできないを正確に示さなければ、お客さんの研究に支障をきたすことになります。率直に迅速に問題対応する力、サポート対応する力がまずは求められます。
そして、危険度の高い製品を間違えてしまうと取り返しのつかないことにもなりかねない。正直に誠実に対応できることも求められます。
ミスを防ぐ工夫や仕組みはどのようにされてますか?
「間違えないのは難しすぎて無理ですね。聞いたことのないすごい長い化学薬品がしかも英語できますから。慣れない方は間違えるもんだと思っているので、そこをプレッシャーに感じる必要はありません。間違えないようにするというよりは、間違いを発見できる体制が大事なんです」
それでも間違えが出ることも?
「もちろんありますが、それもある程度見込んでチェック体制を整えています。ただ万が一そのチェックをスルーしてお客様に届いてしまい、何年もかけて作られていた試作がだめになることがないようには、すごく気をつけています」
「ただ、あまり気にしすぎて手間ばかりかかってもいけないんですね。そのために、発見しやすいチェック体制と効率化するにはどうしたらいいかってことは、常日頃考えてます」
ここで働く従業員は、営業4名、事務1名、非常勤3名と細貝さんを入れて、全員で9名。
主任で営業の関谷さんにもお話を伺う。社歴は6年になり、営業部リーダーをつとめる。
「以前は飲食店で働いてました。私は理系出身なので大学時代に試薬とか理化学機器を使って、実験をする立場だったんです。なので、うちのような業者が来ていることもこういう仕事があることも知っていて、転職活動をしていく中でこの分野の仕事を探して巡り合いました」
飲食店から慣れない業界、初めての職種への転身で苦労したことはありますか?
「自分が研究で使っていたのはほんとにごく一部で、試薬や実験器具、消耗品まで載った色んなカタログが様々なメーカーからあって、ものすごい量なんです。それが最初は何のことだかさっぱり分からないことが多かったですね」
事務職でチーフアシスタントの前嶋さんにもお話を伺う。ここに入社して5年になるそうだ。
「前職はソフトウェアの会社で、ネットショップなどの開発のカスタマーを4~5年やってました。化学系は元々分野とはぜんぜん違って初めてでしたが、ここの募集内容を見てこれまでの経験や知識が使えて、お役に立てるかなと思ってここに来ました」
初めての分野で苦労はありますか?
「最初がやっぱり一番苦労しましたね。化学薬品は名前が似たようなものが多くしかも長い。一文字でも違うと全く違う薬品なので、間違えるととんでもない迷惑をかけることになります。例えばメタノールとエタノールって結構似ていて、どう正確に確認していくかに苦労しました」
今回募集する方は、お客さんからの問い合わせの対応や確認といった関谷さんたち営業のフォロー業務。そして、発注などで前嶋さんの補助業務といったことで、お二人とも頻繁にやりとりすることになります。
お二人から見て細貝さんの印象をお聞きしたいと思います。
「この業界で女性の社長はほぼいないんです。しかも年齢が若いというのも珍しくて、その中でやってくのは非常に難しいとは思うんですけども、下町生まれで江戸っ子の気質がありまして、取引先のメーカーさんにもしっかりとした主張をしたりですとか、私たち社員に対しても言うことははっきりと言う方です」
「ただ、我々の意見や提案をすごく聞いてくれて、実際に『じゃあそれやってみようか』と取り入れてくれるので、非常に相談しやすい環境でやらせてもらってます」
細貝さんは、従業員さんの意見を積極的に取り入れ、現場のほとんどは若い営業マンに任せるようにしている。自分が長年営業として働いてきて、人に任せることに不安や迷いはなかったんだろうか。
「最先端の研究者さんと毎日毎日接してるのは彼らなので、彼らの意見が一番正しいんです。だから、彼らのやりたいことは積極的に取り入れて任せるようにしています」
「以前は、女性だから負けないで頑張ろうと思っていた時期もありました。でも、社員にお任せして存分に力を発揮してもらった方がいいし、彼らのやる気、行動力が現実にも着実に実績として表れています。私の仕事は、彼らの能力や力が思う存分発揮できる『舞台』を作ってあげることですね。最前線でやるよりもその方が私に向いてると今は思っています」
そうした体勢変更や取り組みによって、2016年3月決算では、過去最高益となったそうです。
インタビューの後、取引先である大学の研究室に納品に行く関谷さんに同行させていただいた。
営業先は、一部埼玉の方にもあるが、ほとんどは都内になる。
関谷さんたち営業スタッフは、売り込みだけの営業ではなく、お客さんから注文をいただくとこうして大学や一般企業へ行き、製品を納品するといったことも仕事の一つ。
「一般的な営業とは少し違うかもしれません。納品作業もありまして、お客様から注文をいただいて持って行くということも多い仕事です」
「我々が扱う試薬というのは、工業薬品とは違ってラボレベルで研究をされているお客さんが対象となります。大学や化粧品、食品、生活用品、医薬品、塗料、化学品などのメーカー、試薬を使う分析会社、検疫所、衛生試験所、環境科学研究所等の官公庁分析機関など。あと墨田区だとメッキ屋さんですね」
今回伺った大学には、ほぼ毎日営業に出向いており、ここだけでも何十人もの教授が関谷さんに商品を発注しているそうだ。
関谷さんにこの仕事のやりがいを聞いてみる。
「営業なので、すごい高価な機械が売れたとかそういう時も嬉しいですけど、やっぱりお客さんと親しくなっていくのが楽しみですね。研究室の学生さんとも仲良くさせてもらってて、今だと就職活動の悩み相談されたりとか。仕事とは関係ないですけどね」
「社長も元々営業をされていたので、すごく人脈を大事にされるんですね。新規の営業なんかも人脈を使って広げていかれたので、そこはすごく勉強になりますし、私自身も繋がりを大事にしながらそんな風に広げていけたらいいなと思います」
社内には、薬剤師や危険物取扱、毒物劇物取扱者といった資格を持っている方も多い。事務職の方も資格を持っておいた方が仕事をしやすくなりますが、必須ではありません。入社後に取得することも可能で、資格取得は会社としてもバックアップをしています。
資格を後押ししている理由について、細貝さんがこんな風に話してくれました。
「こういった資格は持っておくと色んなところで働けると思いますし、必要というよりも勉強することで、いかに危険で取り扱いに注意しなくてはいけないかってことを学ぶ、それが大事だと思っています」
資格取得だけでなく、今後は会社として社員教育にも力を入れていき、ここで働く方々にもっとやりがいを持ってもらいたいそうです。
「商社なので、やはり同業者の仲間と競争がどんどん激しくなる一方ですので、負けないようにするためには、『もの』よりも『人』の力を付けないといけません。やっぱり営業マンの力がそのまま会社の実力となってくるので、今後は特に人事教育を充実させていきたいと思っています。」
「以前、250年前の絵画が色鮮やかに、一つの淀みもなく残されていたことに強い衝撃を受けたことがありました。これは当時惜しみなく最高級画具を使用したことに他ならないそうで、我々のお客様の未来へ残す研究も、最高品質の試薬と最新技術の分析機器が必要です。その為にも、知識や伝える力を磨く必要があり、一人一人の研究分野への研鑽も必要になってきますし、耳をダンボにしてよくお客様の話を聞く事も大事です。お客様は、私達の大切な先生なんです」
「それと、日々の業務に追われて忘れがちになってしまうこともありますが、実は私達は最新分野の科学分析技術に日々接している立場なんです。社員みんながそのことを少しでも楽しめる余裕と知識が持てたらいいなぁと思っています。そのワクワクがお客様に対しても前向きないい効果を生むはずです」
派手な仕事ではないかもしれない。でも、この会社を必要としてくれる人がたくさんいる。
そういった方の力になりたい人は、ぜひ応募してみてください。