2017.03.28(火)

駿河屋ブランド 株式会社 駿河屋

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ご応募ありがとうございました。

駿河屋

住宅は、そこに住む家族の人生すら左右してしまう大きな存在です。
しかし、一番落ち着けるはずの空間なのに、そこが原因で病気になったり不調に悩まされる人がたくさんいます。

高度経済成長とともに住宅業界は効率化が優先され、ビニールの壁材や床材を使ったアパートやマンション、プレハブ住宅が短期間でどんどん建てられました。こうした健康に配慮していない住宅に住んだことによって、シックハウス症候群や化学物質過敏症などに悩む人が増え社会問題化してきました。

現代の住宅に違和感と疑問を感じ、自分たちが本当に欲しいと思う素材を厳選し家を作る会社があります。とことん納得するまで現地に赴き、つくり手に実際に会って見極める。

この会社の大切にしているこだわりです。

今回は、徹底的にこだわった素材で体に優しい住宅を一緒につくる株式会社 駿河屋の設計士を募集します。

駿河屋

株式会社 駿河屋は、今年で360年になる創業1657年の建設会社です。

もともと材木屋を営んでいましたが、新建材や輸入材に押され材木業だけでは厳しい時代になっていく中で、9代目である一桝 靖人さんが材木業ではなく建設会社としてこの会社を引き継ぎました。

しかし、独立後に現代の住宅にとてつもない違和感と疑問を感じ、『自分たちが本当に欲しい』素材を使って、プロとしてお客さまが健康で幸せに暮らすために大切なことをしっかりと伝え、限られた予算で満足してもらえる住まいづくりをしていこうと決意されます。

今では、自分の足で全国各地を実際に訪れ、本物の素材に肌で触れたり、つくり手と会って想いを感じ取ったうえで選んだ素材で、確かな住宅を作っています。そこに一切の妥協はありません。

お話を伺うために、東京スカイツリーから徒歩5分ほどにあるショップ兼事務所を訪ねました。

駿河屋

お店に入ると、中には所狭しと並べられた自然素材の食品やコスメ、雑貨などの商品が並びます。

これは、社長や従業員が実際に使ってよかったものや、現地で出会った商品が取り扱われていて、日によっては千葉の市原にある畑で収穫した採れたて野菜が並ぶこともあるそうです。

また2階には、自然素材だけで作られた体感型のモデルルームが併設されていて、実際に宿泊をして体調の変化や素材の良さを確かめることができることと、レンタルスペースとして地域の方々にヨガ教室やお料理教室などで、たくさんの方に利用されています。

こうした、ただ家を作るだけの建設会社とはちょっと違う取り組みには、家を建てたい方だけでなく近所の方にもふらっと立ち寄ってもらうことで、地元とのお付き合いの場になればという想いが込められています。

「地元のお客さまからお声がけいただく機会は増えています。家はメンテナンスしてくれる人がいないと絶対に長持ちしません。作った会社や工務店がなくなることもあって、どこに頼んだらいいんだって言ってるうちに、痛みがひどくなることが多いので、アフターケアも含めてお付き合いできればと思っています」

「うちは、小さい仕事を頼もうと思っても頼みづらいというか、たぶん高いだろうと思われてるんですね。でも、近所のおばあちゃんから網戸を張り替えて欲しいって言われても行くんです。そんな風にこの地域で濃いコミュニティとしてやっていきたいと思っています」

と話すのは、代表取締役の一桝さん。

コーポレートカラーであるオレンジが眩しい暖簾の奥から笑顔で出迎えてくれました。
早速、詳しいお話を伺ってみます。

駿河屋

大手ゼネコンで働いていた一桝さんが、この会社を継ぐために会社を辞めたのは14年前のこと。ただ事業を継承するのではなく、材木業から建設業に業態を変化させるために、まずはハウスクリーニング業を始めたそうです。

「建築物を作るゼネコンにしたかったんです。でも、お客さまはいないしすぐ取引してくれる業者もいない、材料も仕入れられない。ハウスクリーニングで飛び込み営業をして、徐々に建築の仕事をいただくようになりましたが、だんだんそれに興味がなくなってしまって。お金以外なんにも残らないし、俺じゃなくてもいいじゃんって」

昔から独立は考えられていたのでしょうか?

「ここの看板があるからやらなきゃみたいなのはありました。でも、自分自身勤め人って向いてないし、やりたい仕事は務めているこの会社には無いと思って、32の時に一級建築士を取って翌年に独立しました」

そうして、1人で始めたハウスクリーニングの仕事。
お客さまは、どんどん増えていったそうです。

「寝る間もないくらい忙しかったです。飛び込み営業がたぶん得意なんでしょうね。でも、ぜんぜんおもしろくないし、息子に残したい仕事でもない。なにか新しい方向にいかないととずっと悩んでいる時にリーマンショックになったんです。そこそこのリフォーム工事を大手さんからいただいてましたが、急に締め付けが厳しくなって、辛い時期が続きました」

駿河屋

そこから考えた事業が、代々受け継いでいる木材や自然素材の知識を活かせる本物の住宅を創る仕事。これをきっかけに新規事業がスタートし、新しい駿河屋ブランドが始まります。

新しいことへの不安はなかったですか?

「ないですね。僕でできなきゃ誰もできないとその頃は思っていたので。ただ、下請けを続けながら徐々に軸足を変えるつもりが、始めたとたんに元請けから仕事をストップされて、大変な時期もありました。だから、よく親父の事業を継承した老舗の若旦那みたいに見られますが、ぜんぜん違います」

「でも、思い切らないと変わらないと思います。下請け脱却をずっと目標にしてたので、スタッフの顔色が良くなりましたね。お客さまにいかに喜んでいただけるかだけを考えてやっているので、やりがいはあるしすごく喜んでもらえる。その後のお付き合いも長くできる、気持ちの上でも非常に健全な仕事になったと思います」

お客さまにさらに満足してもらえるように、新たな事業にも取り組まれています。

「家を買っても構造的な理由などから思うようなリフォームができず、失敗する人もいます。物件を購入してから来られる人もいて、プロの視点から見るとこの物件ではあなたの夢の住まいの実現はできない、という気の毒なこともあります。だったら住宅のプロであるぼくらが、建築的視点と不動産的視点の両面で夢が叶う物件を探して提案できたらと思い、不動産業を始めました」

駿河屋

駿河屋で働くスタッフは、現在9名。
外部スタッフである設計士や左官、大工といった現場で作業する外注の職人さんと力を合わせながら、一緒に家を作っています。

しかし、外部スタッフにお願いする形には限界があり、駿河屋の理念や想いを理解した人たちと一緒に家を建てるために、今後は社内で技術者を育てていきたいそうです。

「素晴らしいプランニング力を持つ建築士は独立を志しますが、なかなか初期段階の受注ができず、生活のために大手の下請け業務をし、才能を眠らせている人がたくさんいます。そうした若い才能を持った方にチャンスを与え、当社で実績を積み巣立っていった若いデザイナー、建築士も多くおります」

「その後も外部スタッフとして協力していただくなど、お互いWIN-WINの関係を続けておりましたが、駿河屋ブランドの理念の浸透に限界を感じてきました。やはり理念を深く理解する自社の設計やプランナーを育てることが、よりお客さまへの満足度に繋がると考えております」

今回募集する設計士の方は、一桝さんが思い描く駿河屋ブランドに共感し、一緒に育てていってくれる人。

 

ここで10年近く働く現場監督の黒田さんにもお話を伺います。

駿河屋

以前は、設備関係の会社で電気空調工事の仕事をしていましたが、建設業という大枠の中で全体を見られる仕事がしたいという想いから、未経験で飛び込んだそうです。

手がける仕事はほとんどが個人の住宅。企業からの依頼は基本的には受けていないそうです。そして、お客さまのさまざまな要望に応えるために、新築を建てるのに約5ヶ月、リフォームで約1~3ヶ月と他の会社よりも長い期間をかけて、丁寧に家を建てています。

「うちには決まった仕様もないですし、お客さまひとりひとり違って、その都度打ち合わせも必要なので、あまりいっぱい現場は持てないんです。でも、その分ひとつひとつ手間をかけて丁寧にやるので、効率は良くないですが喜んでいただけてます」

実際の仕事の様子を見学させていただくため、現在建築中の現場へ伺いました。

駿河屋

同行した先は、世田谷区用賀にある新築一戸建ての建築現場。この日は、10人ほどで作業をされています。黒田さんは、現場の進捗や細かい仕様の確認などを、外部の設計士や職人さんと行っていきます。

駿河屋の設計士としての仕事は、依頼をいただいたお客さまにヒアリングをし、プランニングや設計をします。場合によってはショールームへご案内をして、キッチンなどを決めるお手伝いをすることもあります。

そして、要望を的確にとらえながら、予算とのバランスをみて最善のプランを考える。設計が終わっても、現場での指示出しや進捗の確認、お客さまへのご案内や引き渡し。完成まで黒田さんをはじめとした現場監督と協力しながら進めます。

こうした仕事の中でのやりがいは、どういったところでしょうか?

「お客さまの夢を我々の技術や知識によって想像を超えるものに具現化することで、感動の場面に立ち会うことができます。下請けをやめて駿河屋ブランドとしてやってきて、お客さまと直でできるようになり、喜んでもらえる顔が見られるようになりました」

「それと、建設現場という枠の中だけじゃなく、打ち合わせから現場からイベントから接客から、幅はすごく広くていろいろ経験できるので、大変かもしれないですけどやりがいはすごくあります」

駿河屋

駿河屋では、木を使ったワークショップや、農業体験といったさまざまなイベントを月に1回ほどのペースで企画・開催しています。驚くことにそのほとんどを自社のスタッフで運営しているそう。お店の接客やショールームの管理、こういったことも仕事の一つで職種は関係ありません。

なぜ、こうしたことをするのか、それは大前提としてここが家を作る会社だということを認知してもらうため。そしてもう一つの理由を一桝さんはこんな風に話してくれました。

「住宅に住んで具合が悪くなる人ってすごく多いし、小さいお子さんが木や土に触れるって今なかなかできない。うちと関わることでさまざまな体験ができるし、コミュニティもできる。何より楽しいと思うんです」

「だから、今後はイベントをもっと増やしたいし、スタッフだけで運営するのではなく、将来的にはお客さまも運営側に巻き込んで楽しく開催したいと思っています」

いつも足を運んでくれるコアなファンを増やして、一緒に運営できるような流れや濃いコミュニティを作ることで、地域に欠かせない会社を作っていきたいそうです。

駿河屋

ただ、こうした取り組みはすぐに数字には現れず、イベントだけで見るとほとんど儲けはでていません。そのため、当初は社員からの反発も大きかったそうです。

「イベントは人件費を考えたら赤字でしょうね。今いるスタッフもようやく分かってきてくれるようになりましたが、こういう方向で始めたら従業員が半分やめていきました。理解できないのは当たり前だと思います」

なぜそこまで徹底してこだわるのでしょうか?

「営業的な面もありますけど、今の家は本物の木が使われていなくて子供たちは本物のヒノキやイグサの香りを知らない。それって大人になっていく上ですごく残念なことで、子供のうちに本物に触れてほしい、知って欲しいんです」

「ぼくは、子供の頃から倉庫や加工場で遊んでいて、今でも木の匂いを嗅ぐと昔の記憶が鮮明に蘇るくらい染みついています。うちは350年以上の暖簾があり、木にも詳しい。それを活かすことが祖先に対しての恩返しにもなるし、何よりぼく自身が楽しい仕事でこれこそ次世代へ残す仕事だと思っています」

駿河屋

人を採用する上でどんなことを重視していますか?

「駿河屋の考え方に共感してくれる人です。あとは、自分でちゃんと頭を使って動ける人。言われたことだけではなく、どうしたら会社が良くなるかを考えてくれる人。アイデアがないと中小企業は伸びないので、新しい知として入ってくれると嬉しいですね」

この仕事の大変さはなんでしょうか?

「設計が決まっていても急な変更があったりも多く、そんな時にはいろんな方に動いてもらわないといけないので、柔軟性がすごく必要だと思います。そして、自ら学ぶ向学心が必要です。わたし自身が建築士なのでそこは教えますが、技術の刃を研ぐことを怠ける人は必要ありません」

駿河屋

設計士としての仕事は、基本的なことは同じでも会社や現場によってそれぞれ違う。
この会社にとって、設計士の役割とはどういったものだろう。

「子育てや住まいづくり、また建築についてもわたし自身のこだわりや技術と知識があります。それを理解して融合させて具現化する大事な仕事になります。ある意味、住まい作りのこだわりを貫くわたしの分身、駿河屋そのものです」

こうした想いを実現するためにも、外部スタッフとしての関わり方ではなく、社内のスタッフとして入ってもらい、共通認識を持って取り組んで欲しいそうです。

「駿河屋の理念を深く理解し、スタッフとして一体感をもつ。それによってお客さまの満足度も上がり、住まい作りの後も長くお付き合いすることができる。イベントなどで懐かしいお客さまに会うことができ、より人間らしい関係ができる。これが我々の仕事です」

「でも外部スタッフの場合は、イベントの手伝いといった仕事以外のお客さまとの付き合いを避ける傾向にありました。ぼくたちはそうではなく、家ができる前も後も長く深く付き合いたいと思っています」

駿河屋

最後に、一桝さんがこの仕事をする上で、大切にされてるいることを教えてください。

「自分が本当に良い、欲しいと思えるものを提供すること。世の中の仕事の多くは自分が欲しくないものを作る、提供することが多く、この建築業界も同じなんです」

家を建てるということは、人生の中でとても大きな出来事です。

そんな大切な場面でお客さまの気持ちに立って、自分たちが本当に良いと自信を持って思えるものを妥協することなく提供したい。

そんな気持ちのある方は、ぜひチャレンジしてみてください。

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