2018.03.11(日)

会社を共に育ててゆく 有限会社 サトウ化成

こちらの求人は募集が終了しました。
ご応募ありがとうございました。

有限会社 サトウ化成

「中小企業って魅力がなくて選ばれないんじゃないと思います。ある程度の規模の会社ならメディアに出るけど、存在も知られてないし、何をしてるかも分からない。だから、会社をまずは知ってもらうことが重要だし、一緒に会社を大きくできることがおもしろいんじゃないかな」

中小企業に目を向けてみると、本当にいろんな会社があって、そこにはたくさんの選択肢があることに気がつきます。知られていないところにもっと目を向けて仕事を探してみると、もしかしたら知らなかった仕事、自分にぴったり合った仕事に出会えるかもしれません。

ウレタンという素材で、新たな可能性を追求する『有限会社 サトウ化成』では、これから一緒に会社を大きくしてくれる方を募集します。

会社を一緒に大きくしてゆく。
中小企業だからこその醍醐味なのかもしれません。

有限会社 サトウ化成

京成押上線 八広駅からしばらく歩くと、ゆりのき橋通りという大きな通りにさしかかります。大通りと言っても、車の通りは比較的少なめで落ち着いた場所です。

このあたりは工場が多い地域で、周辺には大小さまざまな町工場が立ち並んでいます。その中でもひときわ目立つ黄色い外観をした建物が、今回訪れた『有限会社 サトウ化成」です。

すみだの仕事では、これまでに多くの町工場の取材をさせていただいてきましたが、一番最初に取材をさせていただいた町工場でした。

有限会社 サトウ化成

サトウ化成は、抜型と面板との間に加工する材料を挟み、機械で加圧することで希望の形状に素材を抜く『打ち抜き』という加工方法で製品を作っています。丸型や星型のクッキーを作る際に、型で生地をくり抜きますが、原理としてはそれと同じです。

この加工ができる素材は、ウレタン、ポリエチレンフォーム、ゴム、樹脂シート、両面テープ、紙、革など、さまざまな素材を加工することが可能です。

その中でも、特に多く手がけている製品が『ウレタン』という素材を使った、移送中などに製品が傷つかないようにする緩衝材です。

有限会社 サトウ化成

一昨年、長年主力事業であった打ち抜き加工に加えて、カッティングプロッターと呼ばれる新しい機械を導入したことで、飛躍的に仕事の幅が広がりました。

打ち抜き加工が型ありきだったのに対して、この機械はコンピューター上でデータを作って機械に読み込ませれば、型がなくてもすぐに希望の形に加工ができます。

そのため、これまで必ず必要だった型のコストがカットできるのはもちろん、試作から製品化までの時間が大幅に早くなりました。事前にデータを送っておいてもらえば、お客さんが工場に来る頃には形になっていることもあり、その対応の早さにはリピーターが次々に増えているそうです。

また、精度が高いことも特徴の一つで、大量に安く作りたい場合は打ち抜き加工、小ロットで作りたい、綺麗に作りたいといった場合はカッティングプロッターと、用途に合わせて加工を変えることで多様な依頼に応えることができる。それぞれの特性を活かすことでできることが増え、取引先の業種も変わり始めているそうです。

有限会社 サトウ化成

こうした技術をフルに活用しながらさまざまな素材を加工する中で、緩衝材に使われていた『ウレタン』という素材の可能性に着目し、今までにはない新たな活用方法を見出した製品開発に積極的に取り組まれています。

知られているようであまり知られていない、ウレタンという素材。一般的にあまり目にするものではありませんが、ビート板の素材と聞くとピンと来る方も多いかもしれません。

ゴムのようなしなやかな弾力と、スポンジのような柔らかさを兼ね備え、それでいて耐久性があり、水に浮く不思議な素材。低反発なものから高反発なものまであり、色も豊富。一言でウレタンと言っても種類はさまざまです。

「ぼくのやってることは、要は世の中にあるものをウレタンに置き換えたらどういうものが作れるかなってことなんです。実際に作ってみると、こんな機能もあるんじゃないかってことが分かるんです。だから、何でも気になったらまずはとりあえず試してみています」

ウレタンが持つ可能性について熱く語るのは、社長の佐藤 憲司さん。

有限会社 サトウ化成

サトウ化成は、元々アパレル業界で働いていた先代の佐藤 勝男さんが1989年に設立。

その後、1999年にはソフトウェア業界でプログラマとして働いていた息子の憲司さんが、29歳のときに会社へと入り、2代目として後を継ぐことになりました。

憲司さんがこの会社に入社した当時は、打ち抜き加工を専門にする会社でしたが、そもそもこの加工自体は、それほど珍しいわけではないそうです。

同じような業種の会社がある中で、差別化できている理由の一つに、さまざまな素材を扱っており、そしてそれに対してこの加工できる工場が他にはあまりないということ。だからこそ、相談へと工場を訪れたお客さんは『ずっと探していました』『ようやく見つけました』と口にする方が少なくないそうです。

有限会社 サトウ化成

そしてもう一つの大きな理由は、都内という立地条件の良さを活かしたフレキシブルな対応力です。地方にある工場に比べ、直接工場を訪れて相談をしながら進められるという利点があるからこそ、初めての取引先にも見積もりを出した後、仕事が決まる割合が非常に高い。

しかし、リーマンショックで仕事が落ち込んだことをきっかけに、この加工だけを続けていったのではこの先いつか先細りする時がくると危機感を感じ、カッティングプロッターを導入。

これまでできなかった新たな加工と、ウレタンという素材の可能性を追求したことで、今では30社ほどだった取引先が300社を超えるまでになりました。

有限会社 サトウ化成

先代である勝男さんは、70歳を超えた今でも毎日工場に立たれています。未だに抱える仕事は多く、この仕事や取引先を次の世代で引き継いでいくことが、現在の重要な課題としてあげられています。

「親父の仕事をどうにかできる人を育てたいと思っています。それとカッティングプロッターを使えるのが今は一人しかいないので、それも徐々に覚えていってもらいたいと思っています。今回募集する方に求めることは、まずはその2点です」

勝男さんの仕事は、昔からやっている取引先が多く、作る数と売上が大きい重要な部分になります。ただ技術的に難しいとか、経験がものすごく必要というわけではないそうです。

「凝った仕事ではあります。ただ、イメージと単純な暗算さえできれば、ぜんぜんできるので難しいものではないと思います。どうやって組み上がり、最終的に出来上がるかがイメージできれば大丈夫です」

有限会社 サトウ化成

「親父の仕事に限らず、うちの仕事で難しいことはあまりないと思います。最近、取材されることも増えて、どういうところが大変で、どういう技術が必要ですか?ってよく聞かれますが、うちの場合はガチャンと抜けばいいだけで、比較的そういうのはありません。失敗を減らしたりするには、技術的な部分も出てきますが、すごく難しいことはありません」

「それよりも、職人の仕事じゃなくて、発想をしていく会社なんだよってことを最近は良く話をするようにしていて、材料も柔らかいけど、どちらかというと頭も柔らかく使っていく会社にしたいと思っています」

機械を扱ってただ製品を作るのではなく、その前にまずは考えて発想する。
この会社は、そんな方向へと向かっています。

頭を使って出したアイデアを形にしてくれるのに、型が不要なカッティングプロッターは打ってつけの機械であり、会社の事業の柱としても大きくなってきています。憲司さんも勝男さんもそこに大きな可能性を期待する一方で、この機械を扱うことができるのは専任で担当している小田垣さん、ただ一人。

負担とリスクを分散するためにも、もう一人使える人を育てていきたいそうです。

有限会社 サトウ化成

小田垣さんは、すみだの仕事の求人を見て、3年ほど前に入社されました。
入社当時と比べて、大人っぽい雰囲気になった印象でしたが、それでもまだ23歳だと聞いて驚きました。

ここで働いて4年目になりますが、これまでに大変なことはありましたか?

「佐藤さんが言うように技術的に難しいことってあまりなくて、改めて考えてみてもすぐには思いつきません。プロッターもそんなに難しいものではないので、数字と大きさの感覚だけ分かれば、専門的なことを学ばないとできないとかはないです」

「ただ、最初プレス機の圧の調整には困りました。今は数値が出るように改良されたので、型をその数値に合わせてセットすればいいんですけど、以前は感覚でやらないといけませんでした」

有限会社 サトウ化成

入社当時は、加工作業がメインで担当されていましたが、今では加工だけでなく設計までもこなし、お客さんと直接やりとりをすることも増えた。徐々に任せられる範囲が広がったことで、やりがいへと繋がってきているそうです。

「ウレタンって、世の中であまり見ないじゃないですか。だから、知らない人が見ると驚いてもらえることが多くて、最近はこの素材を加工することだけじゃなくて、何をしたらおもしろいだろうと考えたり、設計することが楽しくなってきました。ただ、見すぎて慣れてしまって、新鮮味が自分の中で失われてきているのは、ちょっとまずいなってのはあります(笑)」

「相談に来られる方は、来週までに欲しいんですとか、ものすごい困ってる人が多いんです。他でできなくて断られたとか。だから、やっぱり相談に来てもらって、一から設計して作ってあげると、ぴったりですごい良かったですと直接お礼を言ってもらえた時は、よかったなって思います。そこが一番のやりがいですね」

有限会社 サトウ化成

小田垣さんが、カッティングプロッターを使い始めたのは、去年から。みんなが驚くほどのスピードで使い方を吸収していったと、憲司さんは言います。

「20歳で入ってきたから、吸収がめちゃくちゃ早かったです。意図してることがすぐ理解してできるので、メーカーの人もびっくりするくらい説明を聞いてるそばから頭に全部入っていってました」

「だから、周りの同年代と比べると経験値も違うし、落ち着いてますね。自分で治具を作ったりしてて、場をうまく回転していくってのを頭で考えてるので、すごく助かってます。結局は、作ることが好きなんだと思いますし、この仕事はそこに尽きると思います」

取引先は10倍に増えたが、ほとんどが小ロット多品種です。これまで取引のなかった業界も多く、オーダーメイドのような仕事は、これまでの大量生産に比べて手間は多い。

しかし、長時間仕事をするのではなく、仕事が始まれば一気につめて時間までに仕上げることで、増え続ける依頼にも関わらず、残業は滅多なことがない限りないそうです。

小田垣さんは、18歳の頃から大手フードチェーン店で働き、高校卒業と同時にシフトマネージャーを経験。そこでは、従業員のスケジュールを管理する立場を担っていたため、今でも細かなスケジュール管理のほとんどを本人に任せているそうです。

打ち合わせに参加してもらったり、直接お客さんとやりとりをお願いしたり、どんどん仕事を任せているのには、ただ作るだけで終わって欲しくないという想いがあるそうです。

「うちの利点は、すぐにものが作れてお客さんにすぐに見せれること。そこから仕事が始まるということを彼もよく理解しています。打ち合わせに入ってもらうと作る時のイメージがその場で湧いてくるだろうし、すごく理解してるところから進めることができて早い。下手すれば打ち合わせをしている間に作って持ってきてくれるので、それはうちの強みでもあります」

有限会社 サトウ化成

作ることが大好きな二人は、日々思いついたアイデアを形にしていく。

アクティビティが好きな憲司さんは、子供とキャンプに行ったり、スキーをしたり、フットサルに参加してみたりと多趣味。そんな場でもウレタンを使って何か作ることができないかな、ここで使われてるものをウレタンに置き換えたら喜ばれるかな、そんなことを日常生活の中でも常に考えています。

そこで思いついたアイデアを持ち帰ってぼそっと話す。それを聞いた小田垣さんが試作を作り始め、試作をみて試行錯誤が始まる。そうして二人でコツコツと試作をしてきたものが、ようやく商品化へと向かい始めています。

「今年のギフトショーに突発でしたが出てみて、収穫がかなりありました。こんなの作れますか?って引き合いもすごくあって、ニーズはすごいあるなと改めてウレタンが持つ可能性も感じられました」

今後、商品化が進んでいけば、ネットショップなどの小売や、卸販売なども始まる。そうなると加工業務以外の仕事も増えてくるかもしれません。

有限会社 サトウ化成

どんな方を求めていますか?

「うちは、デザインが好きならそれができるし、やりたいことがあれば挑戦できる環境です。ただ、やりたいことだけをやっていればいいわけじゃないってことも分かっててほしい。パソコンがある程度使えれば、資格や経験はなくて大丈夫ですが、小さな会社なのでいろんなことがあります。これだけをやりたい!って感じだと厳しいです」

憲司さんから見て、大企業にはない中小企業で働く魅力ってなんでしょうか?

「うちの場合で言うと、同じことばかりをしないことが、魅力というかおもしろいと思ってるところです。ぼくも欲張りだから、絶えず変化を求めちゃうので、それを楽しいと思える人には魅力に感じられると思います」

有限会社 サトウ化成

最後に、今後この会社はどのように進んでいきたいですか?

「もう少しやれることを増やしていきたいのが一番で、あらゆる可能性を探っていきたいです。知られてないだけに一番に入っていって、仕事を作っていくというのがずっと課題です」

「世の中には困っている方がたくさんいて、何かを提供することで喜んでもらえたら一番良いし、そういう場面を増やしたい。それはうちにとっても発展していく過程でもあるし、目指すところだと思います」

小さな町工場でも、発想次第でたくさんの人に届くものを作ることができます。世の中にこれまでなかった新しいものを生み出し、そして共にこの会社を大きくしてゆく。そんな醍醐味を一緒に味わってみてほしいなと思います。

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