2018.05.02(水)

普及と復旧 プロドライ株式会社

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プロドライ

古いものが簡単に取り壊されてしまったり、買い替えられてしまう時代が長く続いてきました。しかし、古いものに価値を見出し、大事に使われたり、再利用する動きが少しずつ増え始めています。

災害によって浸水してしまった建物は、建て替えるのではなく早期に『乾燥』させることで、そのまま復旧できることがあります。しかし、この技術は日本ではほとんど普及しておらず、多くの場合に建て替えるという選択が成されてしまっています。

除湿乾燥機を作るメーカーで働いていた、一人のエンジニアが始めた除湿乾燥サービスは、これまでの日本では当たり前ではなかったかもしれません。しかし、それが当たり前になるその日まで、この会社の挑戦は続いています。

プロドライ

墨田区京島にある『プロドライ株式会社』は、2010年創業の除湿乾燥サービスを手がける会社で、これまでに2,000件以上の施工実績とノウハウを持っています。スウェーデンの水害復旧技術を基礎とし、専用に開発された除湿機を用いて、住宅やビルで水災が起こると現場へ駆けつけ、被災箇所を早期に乾燥することで住環境を復旧するサービスをメインに提供しています。

海外では、大規模な自然災害が頻繁に起こることから、災害時の復旧技術が進んでおり、プロドライの代表である三木さんは、前職の知識と経験を活かしてたった1人でこの会社を立ち上げられました。今では、スタッフも4名となり、業務の幅も仕事の数も拡大を続けています。

今回はこのプロドライ株式会社で、サービスの拡大や社内の体制の強化などに伴い、新しいスタッフを募集します。

細い路地にある長屋の一角を自分たちで改装した事務所は、まるで秘密基地のよう。1階は倉庫兼作業場、その上を事務所とした場所で、代表の三木さんにお話を伺ってみます。

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三木さんは、スウェーデンに本社を置き、全世界にサービスを展開する除湿機を作るメーカーの日本支社でエンジニアとして10年以上働いていました。そこで、工場や研究室が水害にあった際に復旧をする乾燥事業部が海外で立ち上がり、三木さんもそこに在籍されていました。

しかし、海外においてその事業部が売却されてしまったことで、日本においても当事業部の継続ができなくなってしまいました。他の事業部に異動という選択肢もありましたが、たくさんのお付き合いのあったお客さまからの続けないのかという声に応える形で、独立を決められました。31歳の頃だったそうです。

「長年の現場経験から、この技術は必ず困っているお客さまのお役に立てることを強く感じていたので、なんとしても続けたいと考えました。また、この30年続いてきた業務が、ある一部分で止まって日本で普及していない現状を、なんとかしたいという想いもありました」

三木さんが、以前の会社で担当していたのは、水害を復旧させる乾燥業務だけでした。しかし、独立してからは求められることも多く、それに応えるうちに業務の幅が広がり、付随する水漏れ・臭気等の原因調査、火災現場・店舗の消毒消臭、除湿機レンタル、除湿乾燥機器の開発、大型空調機メンテンナンスといったことまで手がけることになりました。

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こうした作業の現場では予期せぬことが起こることも多く、求められることも多岐に渡るため、技術ももちろんですが、その場の対応力も非常に重要だと言います。

「現場ではさまざまな現象が起きています。それに一つ一つ対応していきながら、一緒にサービスを作らせてもらい、それをまた別の現場で応用して広めていき、利益は次の機材への投資とする形で、徐々にサービスの幅を広げていきました」

プロドライの除湿乾燥というサービスは、同業種が少なく他でやっているところはほとんどないそう。いわゆるニッチな業界であり、現場で作業をこなすうちに、ハウスメーカー、管理会社、保険会社、調査会社、工務店から次々に依頼をもらい、個人・店舗・工場・ビルなど規模を問わずに対応しています。

「まだ会社が小さく大きな工事を単独では受注できませんが、協力会社さんに手伝ってもらいながら徐々に規模を拡大しています。当社の価値は他社がやっていないことですが、まだ当社にできることが世間に広まっていない状況があります」

「これまでさまざまなイレギュラーに対応してきて、知識と経験は蓄積してきているので、それをしっかり分析して技術に落とし込み、習熟度を高め、他のスタッフでも変わらぬ品質で提供できるようにすることで世の中に貢献していきたいです」

営業の尾崎さんにもお話を伺ってみます。

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「海外では、住居や建造物に対し機能の回復を重視するという価値観の方が多いのですが、日本では機能に加えて知覚や心理的な面を重視することも多く、その場合には工事で完全に取り替える必要があり、乾燥事業はまだ日本ではなかなか普及していません」

「しかし、建材は適切に乾かすことで、実はそのまま使えることが多くそれによりコストも削減できます。また、工事規模が小さくなれば火災保険の手続き等の時間も短縮され、私たちがもっとも重視するお客さまの日常を早期に取り戻すことに繋がります。もちろん知覚や心理的な面でも不安が残らないような施工をいたします」

尾崎さんが、この会社に入社したのは、先月のこと。
事業内容から会社の理念までしっかりと把握し、スラスラと説明する様子はつい最近入社したとは到底思えないほど。しかし、以前はリゾートの運営会社で、マネージャー職を含む約8年間に渡って全国で勤務をしていた言わばサービスのプロと聞き、納得です。

「去年の12月に退職して、アメリカへ1ヶ月ほど行った際に、日本とは価値観がまったく異なる合理的な考え方の下で乾燥事業が広く普及してる様を見て、日本もいずれは合理的な方向に寄って行くと思ったんです。資源の問題で考えても、建て替えや交換が無限にできるわけではないので、乾燥事業は新たな選択肢を提供できる、とても可能性を秘めたサービスだと感じました」

「前職は、日常では補えないような非日常を提供していましたが、この仕事は日常から何かが欠けて非日常になった状態を日常に戻すことです。失ってはじめて気づく当たり前を、お客さまと一緒に取り戻すための接客やケアに、私の経験が活かせると思い入社を決めました」

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なぜ海外では普及して、日本では普及しないのでしょうか?

「さきほどお伝えした価値観の違いもありますが、保険の仕組みの違いもあります。日本は火災保険を使用しても直接的には保険料が上がりませんが、海外は直接上がるため、なるべく保険を使わずに直そうと業者を探すことが自然の流れです。あとはハリケーンのような大きな災害がよく起きたり、住宅の造りや材質、湿度の違いなどの環境の相違もあると思います」

日本で普及していないのは、こうした違いだけでなく、直す方法があることをお客さん自身が知らないこともあるそうです。

「今までは、乾かして復旧させるという考え自体が業者さんにしかありませんでしたが、最近はネットから直接ご連絡いただくことも増えました。また、日本にいる海外の方は乾燥事業に馴染みがあるので、何か起きた時に探してくださるかもしれませんし、それに対応できる工務店さんも限られるので、そういう方たちにもサービスを提供していきたいです」

保険を使って建て直す場合、確かに保険で費用を負担できるかもしれません。しかし、その規模に比例して復旧まで時間がかかったり、その期間中は場所を移さないといけなくなり、費用も思った以上にかかります。

「大規模に作り直すとなると工事の段取りもかかり、生活ができないので当然お客さまは移動しないといけなくなります。また、マンション管理会社やオーナーさまとお客さまとの間に私たちが入ることもあります」

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今回募集するのは『事務』『現場作業』『営業』の3つの職種です。

ただ、職種は分かれていますが、少人数の会社なので、事務や営業でも現場へ出て仕事を覚えてもらうこともあり、職種に囚われずいろんなことに挑戦していき、サービスを一緒に広めていきたいそうです。

「三木が一人でやっていた会社ですが、価値を認めていただき規模を大きくサービスを広く普及させるには営業が必要ですし、呼ばれた時に行けないと私たちの価値は半減するので、技術サービススタッフも増やしていきたいと考えています」

この仕事は日本ではまだ発展途上のサービスであるため、必ずしも特別な経験や専門の資格などは必要ありません。しかし、別の業界で活躍されていた方の知識や経験は、さまざまな場面で活かすことができるそうです。

「例えば、現場スタッフが、ホームページを作る会社で働いていたので、ホームページで一般の方へ広まるように考えてくれています。損害保険の営業をだった方だとそれが活かせたり、工務店経験があれば建築の知識が活かせると思うので、みんなの経験や知識で広げていきたいです。また、直接の資格はありませんが、仕事で活かせる資格については、取得のサポートはどんどんしていきたいと思います」

これまで三木さんはお一人でやっていたことですが、人に任せることに抵抗ありませんでしたか?

「一人では広げられなくて、以前は全国展開するような仕事をしていた尾崎くんが来てくれて、今まで自分の発想になかった提案をしてくれています。大変ですけどやらないとその次に進まないので、少しずつでもみんなに手伝って教えてもらって大きくしていこうと思っています」

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実際の現場には、必要な機材を車に詰め込んで持っていきます。拠点は墨田区ですが対象とする現場は遠方も少なくなく、数百キロ離れた地域へ出向くこともあります。機材の不足や不具合はサービスの品質に直結するため、機材の積み込みや準備には特別時間を掛けて慎重に行うそうです。

「墨田区には工場も多くニーズは非常に多いように思いますが、墨田区に限ってはいません。遠いところだと、最近では岐阜まで行きました。ただ、移動時間が増えるとお客さまにサービスを提供する機会が損なわれるので、各地に拠点を増やしていきたいと考えています」

現場に着くとお客さまへのヒアリングをし、状況に応じたサービスを提供します。漏水した箇所の補修や修繕といった作業的なことだけでなく、住んでいる方はもちろん、大家さんや近隣住民の方への説明、また保険が出るかどうかの判断基準となる重要な報告書の調査など、除湿乾燥サービスと言ってもただ乾燥させるだけではありません。

現場には、主に2名で行き作業にあたるため、一人一人がいろいろなことをこなす必要がありますが、現場で加工をすることがほとんどないので、少人数でもサービスの提供が可能なんだそうです。

「やることは多岐に渡りますが、例えば養生などの準備や段取り、施工、片付けがある内装屋さんと比べ、うちは加工がありません。事前の情報収集とお客さまとの綿密な打ち合わせ、適切な場所の測定を行ったうえで、機器の選定、設置方法の検討、そして設置を行っていきますが、状況把握とそれに応じた事前準備こそが良いサービスを提供する要となります」

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重たいもので20kgほどある機材の出し入れ、床下の狭いところや天井の調査で高い場所に登ることもあり、体力的に厳しい仕事のようにも思えますが、必ずしも体力がないとできないわけではないそうです。

「基本的に2人で作業するので持てないものは補助もできて、体力がないとできないことはありません。スコープを通すために床下に入ったり、どこから漏れてるかを調査する時は、雨を再現するために屋根の上に登り、上から水をまいてサーモグラフィで温度差を調べたりもしますので、もし苦手な方がいた場合には交代して行います」

一人である程度こなせるようになるには、どのくらいがかかりますか?

「原因が明確で、乾燥するだけなら1~2ヶ月でできると思います。しかし、その他の原因調査とか、イレギュラー対応には時間がかかるかもしれません。話を聞いて予測して検討をつける、その判断に深い知識と経験を要します。でも、ゆくゆくは自分で判断できる人間を増やしていかないと、多くの方にサービスを提供できません」

お話を伺ってみると作業自体が難しいというよりは、原因の究明やどう対応するのがベストかを迅速に判断できるかが重要なんだそう。例えば、お客さんがこの場所から漏れてると言っても、実際は別の場所から漏れて来ていることもあり、見てる現象と中で起きている現象が違うことがあり、可能性をいくつか頭に浮かべられなければいけません。

「先日の現場では、下の配管からポタポタと漏れたまま数ヶ月放置され、それが徐々に広がり気づいたら部屋中がびしょ濡れになっていました。大家さんも結露だからとそのままにしていたら、壁紙が剥がれてしまうまでになって、見た目の現象だけで軽視されがちなところはあります」

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これまでに大変だったことはありますか?

「困った末にうちに辿り着かれることが多いので、全く同じ現場は一つとしてありません。ですから、ぱっと見て確信ができない場合もあります。でも、これまでの経験をいろいろと試しながら原因を見つける過程は、難しさと楽しさが混在してるというか、そこを解決していくのはすごくやりがいがあると思います」

建物の構造も漏水の仕方もそれぞれ違う。セオリーがなかなか通用しないように思いますが、原因が特定できないこともあるのでしょうか?

「建造物の内部はすべて覗けるわけではなく特定の箇所に限られるため、稀にあります。しかし、見当をつけ、その考えの根拠をお伝えします。建物を作る資格は建てる時のものであり、事故後のマニュアルはありません。起きたトラブルはさまざまな測定器を使わないと原因が分からないので、そこに特化した我々が呼ばれることが多いんです。トラブルの原因は、建物の使い方にもよってきます。建てた時に想定していない使い方をすれば想定していないことが起こるので、そこも合わせながら考えていきます」

知らない方が多いだけに、知ると求められることは多いように思います。

「できることはもちろんやりますが、専門じゃないことは他の方を紹介するなど、まずは被災されたお客さまの不安を取り除く心のケアがすごく重要です。早期復旧は難しい現場であっても、現場に何度も通いどのように復旧作業が進み、いつから日常が戻ってくるかを丁寧にお伝えすることで安心に繋がります。すると、お客さまの心情がどんどん柔らかくなり、最後にすごく感謝されるとお役に立ててるかなと感じます」

プロドライ

他にはない強みを教えてください。

「除湿機自体を作っていた技術があることです。このサービスは、単純に乾かせばいいものでもないんです。例えば、早期に乾かすなら大きな機械を入れればパワーはありますが、家の電力の使える幅が狭まったり、音や熱を発してしまいます。生活を守りながら直すことを両立させる技術を、メーカーにいたからこそ持っていることが、一つの差別化です」

除湿乾燥サービスは、基本的に何かあってからの事後の対応がほとんどです。しかし、住宅を建てた後この会社がチェックをすることで、建物に問題がないかの安心材料や証明に繋げることにもなるのではないかと考えられています。

また、各工程で行われている乾燥作業が本当に正しく乾燥されているのか、この対応でよかったのか、そういった相談にも乗るなど、いわば住環境のセカンドオピニオンのような役割も担っています。

「万が一、壁の裏が曖昧な状態で放置されれば、住宅の寿命を縮めることに繋がります。工務店さんがすぐに動けなかったり、保険会社さんや管理会社さんとの調整等に長くかかってしまうと、状況の悪化に繋がることもあります。私たちとしては、工事をしたいわけではなく、せっかくお金をかけた住宅を長く使って欲しいんです。だから、とにかく早く現場に伺い被害が拡大しないよう、漏水箇所を適切に見極めて乾かし、電気を使えるようにし、まずは簡易にでも日常生活を取り戻せるお手伝いをします」

プロドライ

どんな方と一緒に働きたいですか?

「困っている方のところへ行くので、まずはお困り事を聞き、適切なサービスを提供する。そういうことがしたいと思う人が来てくれるといいなと思います。知らない業者が入っていくので、お客さまの警戒心も強いですし、求めるものも多い中で丁寧に応えていくのは、技術だけじゃない部分はあると思います」

「それと、チームワークも重要です。個の力よりも組織の力でサービスを提供していきたいので、コミュニケーションが取れて、会社の目的が分かる方。また、今までにない事業なので、どんどん成長していかなれば、このサービスを普及させる芽はなくなってしまうので、とにかく勉強を重ねて新しいテクノロジーを学んで取り入れていき、私たちがスタンダードを作っていく必要があります。そのためには謙虚に学べる人がいいと思います。そして、知見を溜めていき、日本の住環境にあった資材や技術開発に繋げていきたいです」

プロドライ

最後に、この仕事の魅力を教えてください。

「困っている方のところへ行き対応していくと、建造物とともにお客さまの心が復旧していく過程が見えます。それを実現するための道具も機材も知識も私たちは持ってるので、それを使ってサービスできるところが魅力です」

「大きな災害は、太刀打ちできない規模で起きることもあります。でも、そういった時に一救助の一員として行き、少しでも貢献できるような技術を身に着けたいとずっと思っていて、そのためにもこの技術を磨いて磨いて、いざという時の対応ができる会社をしっかりと作っていきたいです」

三木さんは、一人でこの会社をスタートし、これまでにたくさんの現場を担当してきました。休みの日も夜中でも必要とされるところ、困っている方の元へ駆けつけてきましたが、一緒に働く仲間を増やし、バランスよくサービスを提供できるように会社を整えていきたいそうです。

まだまだ日本では普及していないからこそ、一緒に拡大していけるやりがいがあります。このサービスを、日本で普及させたいという熱い想いがある方は、ぜひチャレンジしてみてください。

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