想いを、綴じる 株式会社サンコー
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印刷は、早くて、安くて、手軽が当たり前のネットプリントの時代。
これには、これまでの印刷会社は太刀打ちができませんでした。しかし、その時代の流れに抗うように、さまざまな取り組みを打ち出したり、ネットプリントにはできない細やかな対応で、お客さまの希望を叶えている印刷会社が墨田区にあります。
コンシェルジュにアドバイスを受け、職人さんと直に相談をし、仕上がりを確認しながら印刷が頼める。そんな会社の特徴は、ネットに負けない魅力の一つであるに違いありません。
墨田区の街中では、そこかしこで印刷の看板を見かける。
聞くところによると、1ブロックごとに4つほど印刷会社があった時代もあったそう。そんな印刷会社が立ち並ぶこの町に、クリエイター御用達のシェアオフィスを運営する、ちょっと変わった印刷会社があります。
錦糸町駅と両国駅の間にある、1967年創業の『株式会社サンコー』は、印刷業を基幹業務としながら、製版や印刷で培った色に関する技術を活かし、お客さまの想いを形にして届けている会社です。
『任せてよかった。ありがとう!』と言われ続けるために、常に変化し、成長し続ける会社でありたいという企業理念のもと、お客さまの想いをキャッチして、デザイナーや職人さんが日々カタチにしています。
この会社の強みは、長年磨かれてきたカラーマネジメント。お客さまが求める理想の印刷を実現するための、細やかな色調整を得意としています。
高度な色の技術で、地元である墨田区にちなんだ商品も数多く手がけています。東京スカイツリーのオフィシャルショップの商品や、葛飾北斎関連のグッズもここで作られていて、カレンダーなどの紙ものはもちろん、アクリルへの印刷や加工、マグカップといった製品までバリエーションに富んでいます。
こうした業務によって、今でこそ印刷会社と呼ばれようになったサンコーですが、創業時は手作業でフィルム製版を行う会社でした。そして、今から25年ほど前に、これまでの仕事がMacの中だけで完結できる時代になったことで、DTPに舵を切り今の主力事業である印刷業に乗り出しました。
しかし、それから15年の間に印刷業界衰退の波はこの会社にも押し寄せ、このままでは先細りすることが目に見えていました。
そんな状況を打破するべく立ち上がったのは、現社長である有薗悦克さん。
2013年に家業を継ぐため大手企業を退職し、経営企画室に入社。これまでに培った経験と知識、そして常にアグレッシブな姿勢で会社を先導し、周りを巻き込みながら、新しい取り込みを次々に打ち出してきました。
有薗さんの取り組みで最も注目すべきは、自社工場の上層階に立ち上げた、工場直結のクリエイター専用のシェアオフィス『co-lab墨田亀沢:re-printing』。
2015年3月にオープンしたこの場所は、印刷工場が立ち上げた珍しさもあり、当時さまざまなメディアで取り上げられ注目を浴びました。そして、有薗さん自身が企画運営を担当し、自らクリエイターひとりひとりに声をかけていき、今では20名ほどの工場に対し、シェアオフィスには2つの企業と30名近いクリエイターが入居するまでになりました。
そしてこの場所は、工場で働く職人とクリエイターはもちろん、墨田区のものづくり産業とも交流を促進し、化学反応が起きる場として、この三年半の間にさまざまなものづくりやプロジェクトを生み出すきっかけを作ってきました。
また、工場にはレーザー加工機を導入し業務の幅を広げるなど、時代に合わせて常に変化を続け、今年の秋には『製本部門』を立ち上げ、さらに新しい事業へと挑戦することになります。
今回は、この『製本部門』で働く方を募集します。
まずは、取締役社長である有薗さんにお話を伺いました。
有薗さんは、なんと言ってもビシッと決まったスーツ姿が印象的。これは、取材のためのものではなく普段の姿なんだそう。町工場の社長の印象とは少し違いますが、44歳と社長としては若いためかフランクで話しやすいです。
「サンコーにとって、co-labができたことでの一番の変化は、仕事の種類です。これまで下請けの印刷業務がほとんどでしたが、クリエイターが近くにいる印刷会社ということが知られてきて、一緒にいいものを作りたいという相談からスタートする仕事が生まれてきました」
これまでは価格とスピード感で判断されることが多く、入札で一円でも他社より高ければ受注することはできなかったそうです。しかし、co-labという場所ができたことで、会社自身もクリエイターとの繋がりを持つことができ、これまでにはない依頼が増えてきました。
「今では、co-labに入居するクリエイターさんとチームを組んで仕事ができる機会が増えて、単純な価格勝負に留まらない付加価値を持つ提案ができるようになりました」
「自分たちは、これまでパンフレットのデザインと印刷しかできませんでした。でも今は、それ以外に会社のブランディングやウェブサイトの刷新まで、一括で受けることができます。当社の社員も、最初は印刷以外の仕事が舞い込むことに戸惑いを感じたと思いますが、お客さまの想いを直接伺って形にできることで、仕事にやりがいを感じてくれているようです」
新しく製本事業へチャレンジを決めた理由は何でしょうか?
「一番は、社員が真面目に働いて生活設計が描ける会社にしたいという想いからです。印刷業界はご存じの通り縮小傾向ですが、そんな中でも業績を伸ばし、社員が安心して働けている同業他社を見学させてもらうと、印刷に関連する事業を内製化し、事業領域を拡げているケースが多かったんです」
「もう一つの理由は、co-labを開いたことで、クリエイターの方から高度な相談が寄せられるようになったことです。印刷のことならすぐに答えられますが、製本となると他社に問い合わせるため、タイムロスや、伝える段階での食い違いが起きる。今後増えていくだろうご相談に対応できるようになるには、できるだけ早く始めた方がいいと考えが定まりました」
製本部門の主な仕事内容は、印刷部門で刷られた紙の断裁、中綴じ、折りという3工程と、商品の梱包と発送になります。
つまり、印刷から製本、そしてお客さまの元へ届けるまでを一貫して行うことができるようになります。その一方で、製本は最後の仕上げとなる部分。万が一、そこで失敗をすれば最初からやり直しになる責任の大きなポジションでもあります。
今回募集する製本事業は、今年9月に製本機が納入され、そこから初めてスタートします。
サンコーにとっても初めての取り組みで、社内にマニュアルやノウハウはまだありません。手探りで進めることも多くなるはずで、そんな状況をやりがいに感じながら、一緒に成長していく必要があります。
そのため入社後は、まず仕事上のパートナーでもある外部の製本会社で、二ヶ月間ほどの研修を受けます。ここでみっちりと製本のノウハウを身につけた後、ようやくこの部署の立ち上げを担っていくことになります。
ただ、責任の大きな部署でもあるため、全てを一人でやるわけではなく、印刷部門で働く待鳥さんが同じ研修を受け、印刷部門と製本部門を掛け持ちしながら、サポート役としてバックアップをしてくれます。
待鳥さんは、前職で映画の配給会社でフィルムの色を調整してプリントする仕事をしていて、色に関わる仕事に就きたいという思いから、この会社に入社。
寡黙で頑固な職人さんのイメージとは違い、落ち着いた雰囲気でとても柔らかい印象です。
「映画のRGBから印刷のCMYKになり、調整には最初苦労しましたが、問題が起きるたびにどうすれば解決できるのかを考え、次に活かして経験値を上げていきました。製本は、当社では初めての取り組みなので、一緒に粘り強く取り組んでいけたらと思っています」
サンコーで働く社員のみなさんは、ほとんどが勤続10年以上にもなり、事務所はとてもアットホームな雰囲気です。待鳥さんも17年目になることからも、ここが働きやすい環境だということが分かります。
「定着率がいいことは、職場環境の良さを表していると思います。話しやすい人が多くて、コミュニケーションも取りやすいと思います」
「仲間内で飲みにも行きますし、co-labのイベントに社員が参加することもあります。イベントは、普段あまり接する機会のない方とも会えておもしろいですね。暑気払いや忘年会では社員が揃って楽しむこともありますよ」
この仕事でやりがいを感じる瞬間を教えてください。
「お客さまから直接『いい色だね』と褒めていただくことはうれしいですし、何度もリピート注文が来ると、認めていただけたのかなとうれしくなります」
「印刷は年度末が特に忙しいのですが、みんなでそれを乗り越えて売り上げがついてくると達成感がありますね」
待鳥さんを含めた三人チームの印刷部門から、印刷されたものが製本部門へと流れてくるため、部署間のやりとりも多く密接に関わってきます。
印刷部門で部門長を務める、福沢さんにもお話を伺います。
待鳥さんと同じく、物腰が柔らかくとても控えめな印象です。
取材の当日も、デザイナーさんが来社されていました。一緒に蛍光インキの色調整をしているところで、色が薄くなりやすい蛍光インキを希望される色に近づけようと、まさに試行錯誤中でした。
クリエイターと工場の方が直接やりとりをし、希望する形へと導いていく。これこそが今のこの会社のあるべき姿のように思います。
「これまでは、営業社員がデザイナーとやりとりすることがほとんどでしたが、co-labが上にできてから、色のチェックに直接来られるデザイナーさんも増えましたね。想いを直に聞けますし、仕上がりに満足されている顔を見られるのは、やりがいに繋がっています」
近年サンコーでは、工場やco-labの見学を積極的に受け入れています。
印刷技術を使ってものづくりをしたいクリエイターや学生はもちろん、子どもたちや、霞が関で働く新人官僚の見学も毎年のように行い、工場で働く職人さんたちは、これまで関わることのなかったさまざまな人と交流する機会が増えています。
色の付いた紙への印刷はさらに難しく、試行錯誤の連続だそう。大変そうですね、と思わずつぶやくと「それよりも喜びの方が大きいです」と、笑顔で話す姿が印象的でした。
「自分が印刷したものを街なかで見つけると、その時の苦労も報われますし、喜びも感じます。これから製本部門が加わることで、自分たちが印刷し、製本まで手がけたものが書店に並ぶと考えたらさらにうれしいですね」
福沢さんは、どんな方と一緒に働きたいですか?
「私も印刷に携わる前は製本の仕事をしていたので、大まかな流れは把握できますが、新しい機械での製本については知らないことの方が多いと思います。一緒に学び合ってくれる方だとうれしいですね」
「製本だけ、印刷だけ、と思い込まず、臨機応変にサポートしあえる関係になれるといいと思います。こんなこと聞いていいのかなと感じるような小さな疑問でも、遠慮なく聞いてほしいです」
有薗さんがこの会社に入社してから、新しく人を募集するのはこれが初めて。期待も大きいと思いますが、会社としてどのような方を求めていますか?
「当社の事業領域は『おもいをカタチにする仕事』です。お客さまの伝えたい想いを目に見える形にすることが仕事ですが、わざわざ印刷して本にするというプロセスを踏む方の想いは、より強いはず。その強い想いを、多くの方に届けるための仕事に自負を持ってほしいです」
「だから、お客さまがなぜそうしたいのかを考え、本当に伝えたいことは何かを、一緒に探っていける方と働きたい。これまでのサンコーの良さも受け継ぎながら、新しい会社を一緒に作ってもらえたら嬉しいです」
まずは、この会社の想いに共感してくれること。
その上で、スキルや経験の有無よりも、繊細さや細やかさがこの仕事には求められます。
「製本機での作業は、スパナを使って機械を微調整するような、昔ながらの職人仕事とはイメージが違います。紙の厚みや種類、ページ数に合わせ、タッチパネルで数値を設定して仕上げていくので、製本に関して未経験でも全く問題ありません。素直に状況を見つめ、上手くいかなければ微調整を繰り返す作業なので、細やかな視線のある方だと活きてくるかなと個人的には思います」
細やかな視線のある方とは、具体的にはどのような方でしょうか?
「例えば、美大出身の方は、ぼくたちが意識しないような細部へのこだわりを大切にしていて、美しさを追求するための作業に黙々と取り組まれている印象です。ですが、その長所を一般的な事務業務や営業職では活かしにくかったり、専門的に学んだジャンル以外にご自身の価値が見いだしづらいことで、就職時のアンマッチもあると聞きました」
「製本は、単調な作業も多い仕事です。でも、その中でも仕上がりの美しさを求められたり、効率化するための工夫が見いだせたりする人であれば、楽しく仕事ができると思います」
長年、採用活動を行っていなかったサンコーにとって、全体の若返りも大きな課題です。
全体的な年齢層も高くなってきており、20代はいません。新しい方が入ることで、これまでにない発想や、柔軟な意見を期待しており、若い方や経験がない方も臆せずチャレンジしてほしいそうです。
最後に、有薗さんから仕事をする上で大切にしていることを伺いました。
「私がサンコーに入社する前、新卒で入社した会社の行動規範で、今も強く意識している項目があります。『顧客の言うことを聞くな。顧客のためになることをなせ』というものです」
「お客さまの要望通りに実行するのは簡単ですが、本当にお客さまのためになる仕事をするには、なぜかを考える必要があると思います。そのためには、考えを理解するための情報収集が大切ですし、きちんとお話を聴いて気持ちを想像し、できるだけ近い目線を持つことが重要です。それさえできれば、喜ばれ感謝される仕事に繋がるはずだと思っています」
サンコーは、創業から50年の間、変わり続けることを恐れずチャレンジを続けてきました。そしてこれからも変わり続けていくはずです。
でも、変わらないこともあります。
それは、お客さまのおもいをカタチにして、『任せて良かった。ありがとう』と言われる仕事をするということ。そんな想いに共感し、会社とともに成長していける方からのご応募をお待ちしています。