心に残る手土産 山田家
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ご応募ありがとうございました。
大切な人、親しい人からいただくものは、どんなものでも記憶に残ることが多いでしょう。誕生日やイベント、特別な日に誰かと過ごす大切な時間を、よい時間にしていきたいと思うものです。
手土産も、同じです。
家にお邪魔するとき、差し入れを持っていくとき、相手のことを推し量り思いやることを大切にする日本人の文化において、手土産を渡すというのは非常に大切にしてきた行動のように思います。
数ある手土産の中でも、東京土産の定番として今もなお人気の高い『人形焼』。誰でも一度は食べたことがあるといっても過言ではない、下町の味です。鋳物の型で焼き上げる伝統の和菓子で、カステラ生地の中にやさしい甘みの餡がたっぷり詰め込まれています。
そんな人形焼を、墨田区錦糸町で60年以上もの間守りづつけている『山田家』という会社があります。今回は、山田家で販売員の仕事をしていただける方を募集します。
単にお客さまから言われたものを機械的に販売するだけではない、人間味のあるやりとりを大切にした販売の仕事です。
錦糸町駅から徒歩2~3分ほどのところに位置する、人形焼のお店『山田家』。まち全体には開発によって新たなお店やチェーン店が増加していく中、60年以上も錦糸町というまちで、お店も味も守り抜いてきました。
「いらっしゃいませ」
店内に入ると、まず女性店員さんたちがお客さまの目を見て、にっこりと笑顔で挨拶をしてくれます。程よい大きさの店舗には、人形焼のほんのり甘くやさしい香りが満ちていて、三角巾を身に着けた販売員の方たちを見るとどこか懐かしく親近感があります。
そしてショーケースには、いくつでも食べられてしまいそうなほど食べやすいサイズの人形焼が並んでいます。
そもそも人形焼は、江戸時代に芝居の町として栄えた東京・人形町が発祥といわれています。歌舞伎小屋があった人形町の歌舞伎は、上流階級の娯楽とされていましたが、一方で庶民にとって人気の娯楽は、芝居小屋でおこなわれる薩摩浄瑠璃や人形芝居などだったといわれています。
こうして人形町界隈には、人形職人が集うまちとなり、人形町通りという通りの名称などが誕生していきました。そして、明治時代半ばになると物資の動きも活発になり、庶民にとって手に入りやすかった小麦粉や卵を使用して誕生したのが『人形焼』なのだそう。
大正時代に入ると、人形町で修行した職人が浅草で雷門や五重塔など浅草の名所をモチーフとして始めたことがきっかけとなり、下町エリアにも人形焼が拡まっていきました。
『美味しいものをちょっと安く、そしてたっぷり食べたい』。下町には、そんな気質があったのだそうです。
「戦後間もない昭和26年に、私の父が卵卸問屋として創業しました。浅草エリアにも卵を卸していた時、父が浅草で人形焼が評判であると噂を聞きつけて、自社でも挑戦してみようとしたのが、当社の人形焼のはじまりです」
今や錦糸町の名物となった人形焼誕生のきっかけを、ゆっくりとていねいに話してくれたのは、山田家の二代目社長である山田昇さん。
創業時から、いまだに変わらず使用している機械で山田家の人形焼のこだわりを守ってきました。二代目の山田さんも時代の流れを読みながら、父から受け継いだ製法や味のこだわりを今につなげています。
「時代の変化によって、少々違いがあるとすれば人形焼の『甘さ』です。創業者の父が甘党だったこともありますが、昔は非常に甘い餡であるほうが人気でした。しかし、最近では甘さを控えめにすることで、お客さまから支持をいただいています」
本店の奥には、人形焼を製造する工場が併設されています。製造現場は6時30分からスタートし、朝早くから稼働しています。
焼きの機械は4台。大切にメンテナンスを行いながら、創業時から使用する機械は今も現役です。山田家が製造する人形焼は全4種類で、1台につき1日に1,000個焼き上げることができます。全ての商品が、手に持ちやすく食べやすいサイズ。
かわいらしい人形焼のひとつに、狸の人形焼があります。江戸時代の伝承である本所七不思議の話しのうち、錦糸町が舞台となっている『置いてけ堀』という話の中に出てくる主役の狸をモチーフにつくられています。錦糸町というまちの特徴を生かした、地元でも人気の人形焼です。
山田家の人形焼は、ふんわりと卵とハチミツのやさしい香りがあり、そしてしっとりとした生地と上品で甘い餡との相性は抜群。
「甘さが強いと、素材の味が甘さに負けて感じられなくなってしまう。甘さを抑えることで、卵本来の素材の良さが伝わるんです」
素材や味にこだわり抜いている、と語る山田さん。
これまで卵問屋を営んできた山田家の卸売業の強みを生かし、茨城県奥久慈で徹底した衛生管理のもと育てられた奥久慈卵というブランド卵を、直送で仕入れるこだわりがあります。また、北海道産小豆と極上のザラメ、そして素材の味を引き立たせるアルカリイオン水によって上質な餡をつくっています。
卸問屋としてのノウハウを生かし、素材のおいしさを人形焼に表現し、時代の変化の中でも今もなお美味しいものを安く、そしてたっぷり食べたいという下町の人たちの思いを叶え続けています。
山田さんは、自社の経営以外にも墨田区商店街連合会の会長も務めているのだそう。このまちを愛し、そして山田家がこの地でこれからも営んでいく覚悟があるからこそできることなのでしょう。
墨田区で生まれ育ち、山田家の歴史をずっと見てきた山田さんの目に、時代の流れとともに変化してゆく錦糸町はどのように映っているのでしょうか。
「錦糸町は、なんでもあるまち、あらゆる要望が叶うまちだと思いますね。買い物も娯楽もあるし、交通の便だっていい。今、河内音頭のような昔からあるお祭りや、ジャズフェスティバルなど多くの人たちが集まる文化的なイベントも多数開催されています。若い年齢層のひとたちも集まってきているので、これからますます面白い場所になっていくのではと思っています」
相次ぐ開発によって、まちの雰囲気も人の流れも変化している中、変貌する過程を楽しんでいます。新しい風を受け入れながらも、紡いできた歴史や伝統を守り、今もなお多くのお客さまに愛され続けている山田家のような老舗店の存在によって、まち全体に昔と今の時代の融合を感じます。
山田家がお客さまに愛され続ける理由のひとつに、販売員の存在が大きく関係しています。
今回募集するのは、本店と直轄店舗となっているテルミナ店の2店舗で販売員となってくれる方です。勤務時間は10時~18時まで、正社員、パートと1~2名程度の募集となります。
本店のほかに錦糸町駅のテルミナという駅ビルにも、直轄店舗があります。このほか、東京スカイツリーにある商業施設・東京ソラマチの5階にあるすみだまち処や、両国にある江戸東京博物館など区内の要所でも取り扱いがあります。
現在、社員は7名でパートさんも入れると14~5人が在籍するという山田家。どのような従業員の方たちがいらっしゃるのでしょうか。
「非常に細やかで、気のつく方たちが多いですね。販売員というのは、振舞いひとつひとつによってお客さまに与える印象が、当社のイメージにつながる重要なポジションのひとつだと思っています」
「当社の販売員の方たちは、慣れてくるとお客さまの顔を覚え、普段どれをお買い求めいただいているかなどをしっかり把握したうえで、コミュニケーションを大切にしながら販売にあたっています」
そう話してくれた山田さんは、販売員たちの話しをしながらどこか誇らしげで、嬉しそうに話します。
確かに、店内の様子を見ていると販売員の方たちは、お客さまが気持ちよく購入できるよう用途や要望を聞き出しながら、最適な個数や商品を提案しています。目配りや心配りで、ていねいな応対をしているのが印象的です。
実際に働くことになった場合は、まず本店で先輩スタッフのレクチャーを受けながら、山田家での販売を学びます。一人でも販売対応ができるようになると、テルミナ店での対応を行う方もいますが、まずはしっかりと本店で販売ができるようになることを目指します。
現在も、販売員全員が本店とテルミナ店を行き来しているわけではなく、限られた方がテルミナ店で販売にあたっています。これは、テルミナ店のような商業施設でのオペレーションが本店とは少々異なるためです。
テルミナ店では、繁忙期を除いて基本的には1人で販売対応をすることになります。商業施設の常設店ともなると、本店以上にさまざまなお支払い方法があります。SuicaやPASMOといった交通系ICカード、各社クレジットカード、施設のポイントカードなどさまざまな端末を使用して、会計の対応を1人で行う必要が出てくるのです。
そのため、お客さま対応ができることの中に、会計端末を全て把握し、1人でも的確な対応ができるようにしなければなりません。本店でしっかりと販売を学び、商業施設での販売も任せることができる人材になっていってほしいと、山田家は考えています。
お店には、さまざまな世代のお客さまが訪れます。親子代々、購入されている方もいるのだそう。近年では、錦糸町のまちが開発によって若い年齢層の夫婦やファミリーも増え、購入する層も広くなっています。
会社としてのお休みは、元旦のみ。繁忙期は年末年始、お盆やお彼岸といった時期になります。販売員は、シフト制となるため土日祝日も仕事をすることがあります。働くうえで、暦通りのお休みがあるわけではないことを理解しておく必要があります。
山田家には、社員だけではなくパートさんでも10年以上働いている方もいます。日々現場に立つ販売員は、会社を盛り立ててくれる大切な存在です。代表の山田さんは「山田家に入社してくれた一人ひとりの従業員をこれからも大切にして、少しでも長く働いていただける環境にしていきたい」といいます。
従業員を大切にする会社の想いが伝播して、従業員の方たちのていねいな接客につながっているように思います。
どのような販売員の方を求めるか伺いました。
「一言で、『人と人のつながりを大切にできる方』かなと思います。給料や時給など、経済的条件で全てを判断する方は、仕事自体にやりがいなどを見出しづらいこともあったり、なかなか仕事が続かないことがあります。これまで、条件面で合わないと去ってしまった方たちも見てきました」
「日々従業員同士そしてお客さまとのコミュニケーションを取ることを大切にしているので、人のつながりを大事にしながら、自分なりにポリシーを持って働いていただける方に来ていただけたら嬉しいですね」
最後に、今後の山田家について伺ってみます。
「販路を拡げていくことを目的にはしていません。機械的に商品が作られていくことで、当社の人形焼へのこだわりが薄れていくことがないようにしたいと思っているんです。常にいいものを提供していきたいと思うからこそ、現状を守りながらも時代の変化をみながら進んでいきたいと思っています」
単にお客さまに言われたものを包装して販売するだけではなく、従業員同士のコミュニケーションを大切にしながら、チームワークよく販売をすることで、お客さまが気持ちよく購入していただける雰囲気を作りあげています。
背伸びをしすぎることなく、足元をしっかり見ながらこれから先の歴史を紡いでいこうとしている山田家で、販売員として活躍してみませんか?