2021.05.27(木)

はかることのスペシャリスト 秋山衡材株式会社

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秋山衝材

暮らしの中には、時間や長さ、重さ、温度などを『はかる』場面がたくさんあります。

時計で時間を調べたり、メジャーで長さを計ったりと、普段の生活で当たり前に行うはかるという行為は、常に正確で間違いのないものでなければなりません。

私たちが常に正確にものをはかることができるのは、正確性を担保してくれる方たちの存在があります。

秋山衝材

墨田区緑にある『秋山衡材(あきやまこうざい)株式会社』は、重さに関する専門メーカーで、2019年に創業100年を迎えた歴史ある会社です。

重さを量るために用いる、分銅やおもりの製造をはじめ、校正メンテナンスや分銅レンタル、計量器の販売を行っています。

そもそも分銅とは、重さを計量する際のはかりの基準となるもので、その歴史は古い。人類が発明した一番最初のはかりは、てこの原理を利用した天秤で、紀元前5000年以前が起源だと考えられています。

天秤の用途は、物の重さの比較から客観的な基準量である分銅を用い、質量をはかる用途に次第に変化し、社会の発展とともに商業や各産業において欠かせない道具となっていきました。

秋山衝材

現代で、私たちが最初に分銅に触れたのは、おそらく小学生時代の理科の授業の時だという人も多いのではないでしょうか。分銅をピンセットでそっと掴み、天秤に乗せて量った場面が思い浮かぶかもしれません。

分銅は、理科の実験で使用される以外に、トラックなどの車に積載された積荷の重量をはかる大きいはかりのトラックスケールや台ばかりなどで、計量における信頼を確保するために今も大切な役割を果たしているので、分銅の重さは正確でなければなりません。

そんな分銅を作り続ける秋山衡材は、現在と同じ墨田区緑の地で曽祖父が創業し、現社長の秋山繁さんが3代目の代表を務めています。

秋山衝材

この会社で長年に渡って営業担当を務める、浅野さんにお話を伺ってみます。

「創業当初は、台ばかりの針や部品を製造する仕事からスタートし、祖父が2代目に就任したときに、分銅の取扱いが始まりました」

分銅には形状によって用意されている質量や等級、材質があるのだそう。

ここで取り扱う分銅は、理科の実験で見てきたような円筒分銅、把手がついて持ち運びやすく積み重ねも簡単にできる枕型分銅、吊り下げ式はかりの質量測定の校正に使用される増おもり型分銅、そして特別な用途で使用される特殊分銅と、さまざまな分銅を取り扱っています。

秋山衝材

製造は、20kgから1mgまでメーカーとしてあらゆる要望に対応することが可能で、かつては製造した分銅をお客さまに納めるだけでしたが、現在の社長に代替わりした時から、証明書を付けて納品するようになり、今は独立行政法人で認定ロゴマーク付きの校正証明書を発行することが増えてきているのだそう。

新しいことも取り入れながら100年の歴史を紡いできましたが、今後の存続していくためにはさらに変化が必要だと言います。

「同じやり方だけでは、会社が生き残っていくのは大変で、時代の流れとともに、対応しながらここまでなんとかやってきました。極端な成長はないかもしれませんが、細く長くこれからも続いていく会社だと思います」

続いてお話を伺ったのは、校正センターの秋山センター長。

「分銅の製造はもちろんですが、実は一度売った分銅が3年周期、5年周期で戻ってきて、再調整して重さを丁寧に合わせたものを出荷していく校正という作業や修理が売上の6割程度を占めています」

秋山センター長は、大学で英語を専攻し、卒業後に貿易実務をする商社に就職したのち、30歳のときに秋山衡材に入社。これまでの経験を活かし、製造した分銅に海外でも通用する校正証明書を付ける取り組みを推進してきました。

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「百貨店や運輸関係といった重さで料金が決まるサービスってたくさんありますよね。そのメンテナンス用の分銅を製造、調整、修理をして、検定所で合格したものをお客さまに納めたり、校正証明書を付けてはかりのメンテナンスをしていただいて、お客さま側で正確に計量してもらうための分銅を供給しています」

「ISO17025という規格の認証を受けて、二年毎に審査をされています。重さに関する会社で証明書を発行できる会社は、全国でも80社くらいと聞いています」

分銅は、常に正しい計量ができているのかを確認する点検や検査に使用されます。計測・計量機器は、経年劣化などの理由によって誤差が生じる場合があり、測定精度に影響しないということを調べるために、定期的な確認作業が必要になります。これは、企業が計量機器を使って製作した製品の品質や仕様の確保、保全のために重要になるのです。

そして、計量法校正事業者登録制度(JCSS;Japan Calibration Service System)の認定を受けているため、校正認定事業者としてマーク付きの校正証明書を発行することができ、国家標準、そしてトレーサビリティがとれているという証明をすることができます。

秋山衝材

全国的にみると校正対応ができる会社は多数あるものの、修理までできる会社はそう多くありません。

そもそも校正には、修理・メンテナンスというものが含まれていないので、ズレを直したり、機能を改善したりするものではありません。校正のみを請ける会社は、修理の必要性が出たときに、別の会社を案内するか、新品と交換するという提案に留まります。

しかし秋山衡材では、ステンレスや鋳鉄、真鍮の材質を使用した、さまざまな形状の分銅製造に対応してきたからこそ、修理対応ができるので、必要であれば製造から校正、修理まで一気通貫でお客さまに応えることが可能です。

重さにおける信頼を追求してきたメーカーだからこそ、近年では、分銅やおもり製造と同じく校正作業が売上の半分程度を占めるほど、全国各地から校正の依頼がきており、工場で品質管理を担当する部署からの発注が多いのだそう。

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メンテナンスを担当している石川さんは、全国から届いた分銅を校正・修理をして、再び重さを量る正確な分銅にして出荷をする作業を担っています。少人数の会社のため、ときには配達や営業の仕事をすることもあります。

「全国から届いた分銅を削って滑らかにしたあと、ペンキを塗って修理をしていきます。その後は二日から三日かけてペンキを乾かし、分銅の重さをチェックした成績表を添えて出荷します」

「自分の仕事をしっかりやっていれば、基本的に自由に作業をさせてもらうことができます。あと残業がないですし、日曜、祝日の勤務もないです。コロナ禍でも業界の浮き沈みはなく安定している会社だなと思います」

入社前は、分銅自体のことは知っていたものの、知識や経験は全くなかったそうですが、今では全国からやってくる数々の修理の依頼に対応しています。

そんな石川さんも入社して15年目になります。勤続年数の長い方が多く、長い歴史の中でも辞めた方は少ないそうです。

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秋山衡材の業務は、製造、校正、営業、経理、梱包といった業務に分かれ、現在はパート、フルタイムのスタッフも合わせて、40代から70代までの11名が働いています。

切削前の重たい金属素材を運んだり、工場で作業をしたりと何かと体力が必要な作業もあるため、きつい・汚い・危険という、いわゆる3Kのイメージを抱く方もいるかもしれません。実際、建物は古く重たい荷物を運ぶことも多いですが、三年程前から近所に住むママスタッフが加わるなど、少しずつ女性スタッフが活躍するシーンも増えています。

また、パートスタッフは、分給による勤務を可能にしているため、分銅の修理や調整、事務作業を行うスタッフの中には、午前中に出社。その後一旦外出し、再び午後に戻ってきて作業をするといったフレキシブルな働き方をしている方もいます。

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今回の募集は、工場で分銅やおもりを製造する旋盤工。

旋盤工とは、工場内で旋盤という機械を使用し、金属などを切削加工の作業を行う人のことを指します。金属素材に穴を開けたり、素材の内外を削ったりといった加工をしていくのが主な仕事になります。

旋盤工の作業は具体的にどのようなことを行うのでしょうか。秋山センター長に伺ってみます。

「まず届いた材料を切削し、無垢の真鍮に金属の膜を張るメッキ加工をして表面をきれいにしていきます。そこに予め作ってあった調整溝というスペースに、指で触れても感覚が分からないほどに小さくて軽い0.1 mgのアルミの粒を出し入れしながら微調整をして正確なおもりを造っていきます」

一つを製造するのに、一か月程の時間がかかるのだそうです。

扱う製造機械は、大量生産を可能にする自動化の機械ではなく、汎用旋盤という人の手によって作業する機械です。旋盤工は、製造業の中でも繊細さが求められる仕事で、13年務めている細貝さんは、熟練した技術を持つ熟練工。控えめな印象だが、この会社においてはなくてはならない存在の一人です。

秋山衝材

職人さんと言えば、寡黙で厳しい方を想像しますが、女性スタッフが『優しいおじいちゃんのような方です』と親しみを持って接しているのが印象的でした。まもなく退職を控えており、分銅づくりができる次なる現場の担い手を必要としています。

また、旋盤工が少ない状況にあり、一人一人の技術をできるだけ早くから製造に活かしていく必要があります。そのため、入社後に一から丁寧に技術指導が難しく、受け身な姿勢ではなく仕事を覚えながら自ら技術を盗んでいくような働き方になります。

ものづくりに興味があることはもちろんのこと、必須ではありませんが、ある程度の知識や機械を扱ったことがある方を現場は求めています。

「旋盤工はゼロから始めるのは非常に大変ではあるので、旋盤を扱った経験をお持ちの方はこれまでの経験をすぐ活かしていただけると思います。ただあまり経験がないという方でも、設計図があって設計は決まっているので、最初は刃の当たり方が大丈夫かなど、細かな点を確認をしながら進めていく形になると思います」

秋山センター長自身も異業種から入社し、最初は工場の作業も経験したのちに現在の校正センターの業務を担うことになったので、経験値が低い方でも、熱意のある方なら技術の習得は可能だと考えています。

秋山衝材

ここで働く旋盤工たちの印象について、営業の浅野さんに再び伺ってみます。

「昔ながらの会社というのもありますけど、会社イコール自分というような会社のことが頭から離れないって感じの人が多いんですよ。工場の人たちは職人さんのように細やか。少々神経質と思う部分もあったりしますけどね」

「私も今は営業部で、秋山センター長も校正部の担当をしていますが、いずれも工場での経験をしたのちに各担当になりました。現場も含めていろいろやりたいと思ってくださる人がいたら、いいかもしれません」

製造現場の丁寧な作業があるからこそ、お客さまの信頼に繋がっています。

秋山センター長が最後にここで働くうえで、どんな方であれば一緒に仕事を楽しんでもらえるかスタッフの雰囲気とともに話してくれました。

「昔ながらの純朴な人が多いですね。休みがあったら旅行に出かけることを楽しみにしているというより、仕事のことが頭から離れないなんていう人が多いんです。それに、私たちの仕事は、華やかではないんです。ただ真面目にものをつくることに専念してきた会社なので、ものづくりに興味のある人にとっては面白い会社だと思いますよ」

秋山衝材

安心・安全に商品やサービスを当たり前に利用できる裏側には、はかりが大切な役割を果たしています。

はかりや重さを守るスペシャリストを目指す方からのご応募、お待ちしております。

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