2022.11.14(月)

墨田区を代表するハンドメイドガラス工場 岩澤硝子株式会社

こちらの求人は募集が終了しました。
ご応募ありがとうございました。

岩澤硝子

料理が盛り付けられたお皿。
飲み物を入れたグラス。
そして、食卓の上に置かれた調味料入れまで。

料理を美しく見せ、そしてより美味しく感じさせてくれる、おいしい料理に欠かせないガラスの食器は、私たちの暮らしにたくさん溢れています。

岩澤硝子

全国の飲食店で使われる調味料入れの7割ほどを手がける、東京都墨田区に工場を構える『岩澤硝子』は、私たちの生活に欠かすことのできないガラスを、100年以上も手づくりで作り続けています。

ガラスの地場産業である墨田区においても、ハンドメイドガラスを作っているのはここだけ。貴重な区内最後のガラスメーカーです。

岩澤硝子

ガラス工場の中に入ると、すさまじい熱さにまず圧倒されます。無数に並んだ扇風機が至るところで激しく回っているものの、効果があまり感じられないほどの熱気に包まれています。

工場の真ん中に置かれた、異様な存在感を放つ巨大な溶解炉の周りでは、常に熱さと危険が隣り合わせの厳しい環境にも関わらず、熟練の技術者たちは臆することなく、忙しくてきぱきと動き回り、次から次へとガラスが生み出されていきます。

岩澤硝子

その様子には、思わず熱さを忘れて見とれてしまうほどスムーズで、流れ作業のようにも見えますが、オートメーション化はされていません。技術者たちがその日の気温や湿度に合わせ、ひとつひとつのガラスを丁寧に作っていきます。

ガラスづくりには、技術と経験、そして各作業を分担した流れるようなチームワークが、大量のガラスを作るうえで欠かせません。みんなの息がぴったり合ってこそ、初めて製品として提供できるガラスができます。

そんなガラスづくりの現場で、岩澤硝子のチームの一員となって、一緒に力を合わせてガラス製造をしてくれる技術者を募集します。

岩澤硝子株式会社

1917年創業の『岩澤硝子』が得意としているのは、ドロドロに溶けたガラス種を金型に流し込み、プレス・スピンドル・圧迫と呼ばれる成形法を用いた金型製法です。

チームごとにそれぞれの窯から溶けたガラスを竿で巻き取り、そこから型へ流し込み成形。そして、ある程度固まったガラスを冷却炉へと運び、ゆっくり時間をかけて冷やしていきます。

金型製法は、車やバイクのヘッドライトに使われるレンズや調味料入れに適しており、でき上がるガラスは厚手でしっかりとしたものです。

厚手ガラスの代表的な商品である醤油注ぎは、今でも年に数万本を製造する昔から変わらない不動の定番商品です。

蓋をネジ式からすり口に変えた液だれしにくい新タイプは、蓋だけで年間8~10万個程度を製造し、2010年には墨田区の地域ブランド『すみだモダン』に認定されました。

岩澤硝子

しかし、需要に反して岩澤硝子のようなハンドメイドでガラスを作る工場は、年々減少の一途を辿っています。

そのため、廃業してしまった工場のお客さんからの発注依頼も増え続けており、4代目代表の岩澤さんが後を引き継いだ2018年から今まで、常に製造は追いつかない状況が続いています。

そんな中で、コロナによって観光地のお土産屋さんや、雑貨店などの小売店がストップ。その影響はここガラス工場にも及び、発注量は激減しました。売り上げは半分までにダウンし、さらに原料高騰もあり、一時は工場の稼働日数を減らした時期もあったそうです。

「コロナまでは、何か月も待っていただく状態が続いていたのが、キャンセルが相次ぎ、5月の売上は60%ダウン。その後も続いて平均して半分くらいの売り上げ減になりました」

「それが去年のオリンピックあたりから急激に注文が回復し、もう来年の1月の注文まで入って来てるくらいで、また忙しくなりました。醤油さしだけで、一万個以上の注文残があり、数カ月待ちの状態に戻りました」

岩澤硝子

発注がようやく戻ってきて一安心。と言いたいところですが、原料や燃料が高騰していることで、売上げても利益が出にくい状況になってしまいました。

これまでのやり方では難しくなってしまった今、岩澤さんは工場の改革を始めました。これは、ガラス工場の未来を作っていくための取り組みです。

「今は、ガス代だけでなく原料や資材まであらゆるものが値上がりしていて、全て含めると経費だけでも死活問題です。発注がたくさんあるのはありがたいことですが、原価率があがり、利益率が少なくなっています」

「でも、これはガラス屋だけのことじゃないですし、今だからこそ若手の育成に力を入れたり、今まで値上げが厳しかったところにもお願いしたり、値上げを飲めないところは断ったりもしました。生産数も落ちたりといろんな要因がある中で、次にいくためには若手を育てて生産数をあげていくこと、そして単価をあげていかなければなりません」

岩澤硝子

ガラスの工場は、基本的に24時間365日常に稼働させ続けなければ、良質なガラスを作ることができません。

そのため工場の稼働をストップすることはほとんどありませんが、コロナの影響でこれまで通り工場が稼働できない状況に陥りました。そこで、これを逆にチャンスと捉え、今までの体制を見直すことになります。

「コロナの影響で、一昨年と去年は赤字でした。こんなことは創業以来ほとんどありません。でも、赤字だからと後ろを向いてても仕方ないので、助成金などを活用しながら会社の整備を始めることにしました。コロナで大変な状況ではありますが、今のうちにやれることをやっておいて、もう一度再スタートしてみようといろいろみんなで試しているところです」

「例えば、女性の更衣室がカーテンだけだったので、部屋にする工事が始まっています。また、会社の電気を全てLED化したり、工場の新しい設備導入も検討しています」

岩澤硝子

改革は設備的なことだけでなく、会社組織も変えはじめています。これまで現場以外のあらゆる業務を兼務していた岩澤さんでしたが、自分の業務を徐々に従業員に任せる形に切り替え始めました。

「内部的な組織を大きく変えはじめています。敢えて熟練者を現場から外し、全体を見る立場になってもらったり、細かい業務を社員に任せるようにしました。それもあって、最近は現場に入ると社長がやることじゃないと職人たちから怒られるようになり、それっていいことだと思うんです」

「これから先いろんな人材を作り、自分がいなくてもいい状態を作っていく。私の手が空けば、すぐに打ち合わせに伺えて、電話では伝わらない質感なども、会って話せば伝わりやすくなります。なるべく早く対応できれば次に繋がることも増え、会社としては次に進むことができます」

岩澤硝子

工場の中を見渡すと、熟練の技術者に混じって若い方が働く姿も見られます。ここ数年で20代、30代の方が何人か入社したことで、若手の育成にも力を入れるようになっています。

そんな若手の中で、特に生き生きとした表情で先輩から指導を受ける男性がいます。

渡邉さんは、すみだの仕事の求人を見て、4年前に入社してくれた一人。まだまだ一人前とは言えませんが、ひたむきに頑張る姿に岩澤さんはじめ、周りの先輩たちも高く評価をしています。

「すごい頑張ってくれていて、一番手ではないけど三番手くらいの仕事を今はやってくれてます。最近では少し簡単なプレスも押せるようになったり、製造だけでなく資材の注文も含め材料管理まで任せているので、確実に成長を感じます」

岩澤硝子

しかしながら、この仕事は決して楽ではないため、なかなか若い人が続かないこともあるのは事実です。

そんな中でも、渡邊さんのように粘り強く続けている人たちもいます。岩澤さんから見て、渡邊さんが続けられたのはなぜだと思いますか?

「彼はもともと飲食店にお酒を配達する酒屋さんの仕事をしていて、今もそこのアルバイトもしています。副業は仕事に影響がなければ会社としても認めていて、他の仕事をするのって息抜きになって、いろんなことが見えるのは良かったんじゃないかと思います」

「あと、私もそうですけど、お酒が好きで仕事が終わってから、みんなで一杯飲んだりして、すぐに輪に入れたのが良かったと思います。普段話しづらいことなども話しやすくなりますし」

渡邊さんのように、他の仕事もやりたいという方は、仕事に支障のない範囲で副業が可能です。もちろん、家族サービスなどプライベートな時間を充実させて、また次の日に備えることもできます。

岩澤硝子

分担作業で作られる手づくりガラスは、一人でもペースが遅れてしまうと全体のリズムが崩れてしまいます。一瞬でも気を抜く暇はない仕事ですが、若い方たちもどんどん実戦で難しい作業に挑戦をして、技術を磨いています。

「この仕事は、やらないと覚えられません。チームの中でサブの仕事は少し教えればできるようになるので、それをしながら少しずつ次を覚えていってもらいます」

「5分や1時間の失敗なんてどうでもいいんです。とにかく失敗しても責任は会社が受けるし、どんどんやらせていいと先輩の職人たちにも伝えてます」

すぐにメインの仕事ができるわけではないし、失敗をしてもチャレンジし続け、時間をかけて体に技術を覚えさせていく。今の先輩たちもそうやって成長してきたそうです。

岩澤硝子

技術を積むには実践あるのみ。しかし、渡邊さん含め、若手の従業員が難しい作業を担当すれば、やはりどうしても少しずつ全体としてのペースに遅れが生じてきてしまいます。それは当然仕方のないことなので、そんなときは先輩技術者へすぐにバトンタッチし、遅れをカバーしていきます。

そんな風に、全体としての流れを止めないために、全員でフォローしていきながら、ガラスづくりは行われています。個人の作品制作のように孤独に作りあげるものではないですし、一人で好き勝手に作れるというものでも決してありません。

また若手の方たちも、今はまだまだ第一線の活躍ができているわけではないとしても、チームに入ったからには既に欠かせない存在になっているという責任を持ちながら、周りの人たちと力を合わせていかなければなりません。

岩澤硝子

ガラスづくりは、脱水症状で倒れることもあるくらい汗だくになる仕事です。火傷は職業病のようなもので、体力的には決して楽な仕事ではありません。

また、チームで仕事をする上で、人間関係は難しいものです。長い時間を共に過ごしながら、常に危険と隣り合わせで行うため、気持ちが張りつめてしまったり、若手の安全面や成長のためにと想って、先輩から厳しい言葉が飛び交うことも少なくありません。

ときにぶつかることもあるそうで、ガラスづくりに大切なチームワークを維持できるよう、残業はほとんどせず、夏は休憩もしっかり取れる。メリハリを特に大事にしています。また、岩澤さんは気分転換ができるようにと、さまざまな仕組みを積極的に取り入れています。

岩澤硝子岩澤硝子

熱い現場作業の後は、汗を流せるようお風呂が設けられていたり、汗をかいた服を洗濯することもできます。冷たい飲みものが飲めるように、工場内に自販機や製氷機も設置されています。

また最近では、月の定額費を会社が負担することで、従業員が食堂でお惣菜やサラダを手軽にワンコインで自由に買って食べられる配達サービスも導入したそう。

「オフィスで野菜というサービスを今月から試験導入しました。煮卵やサラダが入っているので、仕事の後はみんなで食べながら飲んだりしてますよ。スムージー的なドリンクもあって、すごく売れているみたいです」

「そういう何か気持ちが紛れることはいつも考えてます。どうしても仕事にのめり込みすぎてイライラしたり、コロナでギスギスして気持ちの疲れが出たこともあるので、ちょっとでも気晴らしになるならいいなって。サンドイッチおいしいよねって話から打ち解けたりすることもありますし」

岩澤硝子岩澤硝子

私たちの生活で当たり前に使われるガラスですが、それを作り続けるのは、簡単なことではありません。

なによりも大切なのは、安定して生産を続けていくこと。手づくりとチームワークを大切にしている岩澤硝子には、ガラスを作ってくれる人手が欠かせません。

このチームの一員となり、ガラス工場を一緒に盛り上げてくれる方からのご応募、お待ちしています。

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