2015.06.22(月)

感性を描きとめたい人へ 株式会社 伊藤バインダリー

こちらの求人は募集が終了しました。
ご応募ありがとうございました。

伊藤バインダリー

モノを作ることができても、売れる商品を作ることができない。

これは墨田区の町工場に限らず多くの製造業が抱えている悩みだろう。
だが、ちょっとした工夫やアイデアの転換で今まで当たり前にやっていたことが商品化に繋がることもある。

そして、素晴らしい技術を持つ職人を抱える墨田区の町工場は、その可能性を無限大に秘めている。

伊藤バインダリー

印刷業界や製本業界は、インターネットの普及とともに縮小する市場に苦しんでいる。しかしその中で、今までの仕事ではない新たな試みに果敢に挑戦し、自社のヒット商品を生み出した会社がある。

『株式会社伊藤バインダリー』は、この自社のオリジナル商品を、世界へ向け販路を拡大している。そんな海外との窓口となり世界へ発信する、輸出事業スタッフを募集しています。

伊藤バインダリー

墨田区本所にある伊藤バインダリーは、1938年に江戸川区で創業。
商業印刷物を中心に製本・断裁・折などの加工業務をメインとしている会社だ。

要は、名刺やハガキ、カタログ、チラシ、パンフレット、DMを切ったり、ミシン目を入れたり、角を丸くしたり、穴を開けたり、スジを入れたり、書店で売ってない製本物の加工がほとんどで誰もが一度ならず目にしている製品の加工である。

伊藤バインダリー

デザイナーが設計し印刷会社が印刷したものを、ここで最終加工する。多いものだと何十万単位での加工の依頼や、様々な形や紙の厚みがあり、寸法通りやってもうまくいかないことも多く、手の感覚や熟練の経験値が必要になる仕事だ。

しかしながら、徐々に縮小していく紙業界の中で、そういった技術だけでは他社との差別化は難しく、生き残っていくだけでも大変なのも事実だった。

伊藤バインダリーでは、2008年より自社商品の開発に乗り出し、今では会社の二割以上の売上を占めるまでになった。長年印刷会社の下請けとして、加工業務がメインだったこの会社が、自社商品を作ることになったきっかけはなんだったんだろう。

三代目社長である伊藤さんに、その当時のことや今回の募集についてお話を伺った。

伊藤バインダリー

「今までは紙媒体が情報伝達の主役でしたが、インターネットが普及してきたことによって紙が持つ役割も変化してきました。自社が世の中にどうやったら必要とされるのかなって考えた時に、自分たちが作る商品を直接お客さんに手渡し、繋がりたいと思ったのが商品開発のきっかけです。」

「自社商品であるドローイングパッド、メモブロックは、建築家やインテリア関連の方に広く利用され、取扱い先の多くは海外になります。欧米をはじめ、アジアの取引先への輸出業務が増えている事から、英語でのコミュニケーションと輸出業務の強化を図りたいと考えています。」

伊藤バインダリー

「開発当初は会議らしい会議もできませんでしたね。それまで開発会議をやったこともありませんでしたから。しかし外部のデザイナーを交えながら、肩の力を抜いて工場目線で商品開発をしようと廃材を利用しながらはじめ、試作したモノを出して意見を出し合う事をはじめ、徐々に皆の意見も出はじめました。」

「工場には、印刷された紙を断裁する際、廃棄処分される部分が多くあります。昔からその端材を使って職人がメモ帳を作って近隣の人に差し上げることがあり、喜ばれていたんです。議論を重ねる開発会議の中、それは当社の文化の一つではないかと気がつき、きちんとしたメモ帳作ろうと。そこから開発がはじまりましたね。」

伊藤バインダリー

そうしてできた、『ドローイングパッド』『上質メモブロック』が、2010年にはグッドデザイン賞を受賞し、今では国内だけでなく海外からも多くの国から注目される同社のヒット商品となった。主な販売店は、インテリアなどのライフスタイルショップを中心に展開されている。

伊藤バインダリー

41歳で二児の父である伊藤さんが、社長となったのは2014年6月のことだという。

「親父も一昨年の暮れまで現役でしたが、倒れて入院してしまったんです。年明けから仕事を引き継いで、昨年六月から社長になりました。その時は、親父の仕事の負担がみんなに行ってしまい、非常に危機的な状況でしたが、社員たちがものすごく協力してくれたことで乗り切れました。」

いつから会社を継ごうと思ったのでしょうか?

「昔から紙の中で育ってきて、身近に工場や紙というのはありました。ですが、親父から継いでほしいと言われたことはなかったので、大学出てから五年間は区外の中堅の印刷会社の営業部署に就職して、一般の法人営業マンをしていました。特に実家を継ぐことは考えていなくて、何を将来仕事にするのかなんて考えていませんでしたが、しばらく経つにつれて自分で商売をやりたいなって思い、二十七歳の時に実家に戻り会社に入りました。」

伊藤バインダリー

ここで働くメンバーは、職人さんが五名、窓口担当が三名の八名だが、求人を出すのは実に十年ぶりだという。

具体的にはどういった仕事をやってもらう予定ですか?

「自社文房具の輸出事業全般の業務となります。海外とのメールでのやりとりや書類作成、出荷手配、顧客管理、打合せサポートなど。輸出事業のメイン担当者を目指してほしいと思っていますので、業務内容は多岐に渡りますが、全てができないといけないわけではありません。できるだけ柔軟に働けるように相談しながらやっていただければと思います。」

「例えば、現在は勤務日数や勤務時間も多くないため、在宅勤務もありだと考えています。メールを送ったり、翻訳したりといった仕事は自宅でも十分できる業務なので、週一とか週二だけこちらに来てもらって、できない分を在宅でやってもらうという形も考えられます。」

伊藤バインダリー

どんな方と一緒に働きたいですか?

「今回募集する仲間は、英語が出来る方が必須になります。七~八割が海外の取引先で、トップブランドや北欧の家具メーカーともやりとりをするため、彼らとのメールが非常に重要になります。フランスを中心としたヨーロッパと北米、中国、台湾、韓国などへ輸出していますので、英語の上手な方を希望しています。僕自身、英語を教わりたいですねぇ(笑)」

「商品の利用者の多くは建築やインテリア関連の方が多いんです。価格は決して安くはなく、消耗品としての文房具とは少し性質が違います。私は、彼らが当社の商品を使って、さらに美しい建造物やプロダクトを創り上げてくれたら何よりもうれしいと思っています。お客様の声を聞き、商品の魅力を伝えることに楽しみを感じて頂ける方に、是非頑張っていただけたらと思います。商品を理解し、愛してもらう事が一番だと思います。普段から工場見学は受け入れているので、まずは一度工場を見学に来てもらうといいかもしれません。」

伊藤バインダリー

お客さんの多くは建築家の方に多く愛用され、図面を描いたりすることにも使われているんだそう。

「募集形態はパートにしていますが、輸出事業部の専属担当者となるような方を求めていて、ゆくゆくは社員登用も考えています。ただ、まだフルで働いてもらうほどの仕事量はないので、そこはしっかりと働いてもらえるような体制になるようこちらも頑張らないといけない部分だと思っています。」

伊藤バインダリー

ここで働くことの魅力はなんでしょうか?

「メール一本の言葉によって、世界の人に使われる可能性を秘めていて、それによってまた何か新しいものが生まれる。ただ、横流しに売るだけではないことですね。そこに行き着くまでのとても重要な仕事です。小さな会社の一つの商品ではありますが、インテリアデザインの中心に食い込んだりできることも魅力の一つかもしれません。」

伊藤バインダリーでは、新しい商品の企画段階から関わるチャンスがあり、自分で商品を企画し販売まで行えるのも小さな会社ならではの魅力で、写真は実際に韓国ソウルの店舗で取り扱われている様子。

伊藤バインダリー

パリのメゾン・エ・オブジェに出展した際のブース。

展示会は、国内外問わず年に数回出展。展示会のあとは問い合わせや来場者の顧客管理などで特に忙しくなるんだそう。

伊藤バインダリー

今後の会社のことを聞いてみると、国境を越えてたくさんの方に自社商品を使ってもらい、愛されたいという夢を語っていた伊藤さん。その一方で大きな夢を描きつつも、二児の父らしい自分の子どもたちに『こんな仕事をしたい!』と思ってくれるような会社にするという夢も語られていた。
そのためにはもっともっと多くの国で販路を広げていく必要があり、そのための重要な仲間を探されています。

伊藤バインダリー

伊藤バインダリーが目指すコミュニケーションは、伝えるだけのコミュニケーションではない。
英語が喋れる、経験があるということよりも、海外へ会社の想いを代弁できる方を求められています。

言葉をただ英語にするのだけでなく、この会社の雰囲気や伝統を肌で感じ自身の言葉で『ITO BINDERY』の熱を世界に伝えてほしいと思う。それができるようになれば、きっともっともっと多くの方にこの商品は届いていくはずだ。

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