2015.10.09(金)

ブランドの想いを形に 株式会社川島メリヤス製造所

こちらの求人は募集が終了しました。
ご応募ありがとうございました。

川島メリヤス

積極的に会社をアピールしていないにも関わらず、その高いクオリティと技術で仕事を依頼したいという、ブランドやメーカーが常に殺到しているメリヤス工場が墨田区向島にある。

「アピールしていないけど、じいさんのバブル時の売上げとほとんど変わってないか、逆にちょっと増えてるくらいだよ。今なんて仕事取りすぎて、納期遅れが炸裂してる。でも、それはたまたまだよ。たまたま運がいいんだよ。」

そんな有名ブランドをいくつも手がける『株式会社川島メリヤス製造所』で、一緒に働く仲間を募集しています。

川島メリヤス

株式会社川島メリヤス製造所は、1937年創業。
作られている製品は、メンズ、レディースの横編ニット製品。

平編みで編んだ製品のことを指すメリヤスは、伸縮性に優れており靴下や下着、帽子や手袋などの日常的に使われる衣類の多くに利用されているが、ここではアウアーのセーターを中心に、アパレルブランドからの依頼を受けて、製造を行っている。

メンズとレディースをどちらも手がけており、微妙に時期がずれることで、年間を通して潤沢に仕事があるそうだが、特に10月・11月は秋冬物をこの時期に全て納めるためもっとも忙しく、自動で一晩中機械が動いていることも少なくないそうだ。

そんなもっとも慌ただしい時期に、会社へ伺わせていただいた。

川島メリヤス

今回お話を伺ったのは、3代目社長の川嶋さん。

川嶋さんは、高校卒業してすぐこの会社を継ぐことになる。
メリヤスは、墨田区、新潟県五泉、見附、福島県保原、山形寒河が産地だそうで、高校卒業してすぐに新潟の同業社へ3年の修行に行き、21歳の時に正式に会社へ入った。

昔から実家を継ごうと思っていましたか?

「小さい頃から継ぐもんだと洗脳されてたかな(笑)それに、俺がガキの頃この業界ってすんごい儲かってたんだよ。でも、メリヤス屋さんはピーク時の5分の1くらいになったよね。このあたりの同業社さんも以前は結構あったけど、今残ってるのはうちだけ。」

「うちは、都内では珍しく機械設備を持ってて、生き残ったのは機械持ってるから。いくつかの工程は、近所にある協力工場を使ったりもしてるけど、編みは100%社内でやってる。昔からずっと変わらずセーターを作っていて、取引先はどんどん変わってるけど、今も取引先は増えて行ってるよ。」

川島メリヤス

今回の募集の経緯は?

「今回募集しているのは、『編み立てプログラマーの正社員』と『針作業及び納品作業のパートさん』。正社員は、すぐに人が足りないというわけではなく、長い目で募集をしていきたい。それくらい特殊な仕事でなかなかできる人っていないんだよ。」

「パートさんの方は、何人か辞めちゃう子がいるので、すぐにでも働ける人を募集中。こっちはそこまで難しい仕事でもない。」

川島メリヤス

実際に働く工場も見せてもらった。
工場内には、横編機が13台設置されており、国内有数の社内設備を備えているそうだ。

この日も、どの機械もフル回転していた。

川島メリヤス

編み立てプログラマーと呼ばれる、編み機を動かすためのプログラムができるメンバーは、川嶋さんを合わせて現在は3名。

ブランドやメーカーから来たデータを元に専用のソフトを使ってドットで描き、編むためのデータを作る。作ったデータを機械に読み込ませることで編み機が自動で編んでくれる。
このデータを起こす作業には、プログラムの知識はもちろん、ある程度のデザイン力も必要だという。

川島メリヤス

編み機も大きく分けるとドイツ製のものと日本製の2種類のメーカーの物があり、メーカーによってプログラムもソフトも機械の使い方も、全く違う独自のものなんだそうだ。

「職人というよりはプログラマーに近いかも。機械がかなり特殊だから、もちろん全くの素人よりは覚えがいいかもしれないけど、別の会社で別のメーカーの機械だとすぐに出来るもんじゃない。」

「それにこの仕事は、いろんな能力が要求される。多少絵心があって、ある程度のパターンを頭の中で空想しないといけないから、編み物を知ってて、パソコン詳しくて、そこそこ絵がうまくて、勘が良くないとできない。だから、まともにできるようになるには3年以上はかかるよね。『編み物好きです、やりたいです』って子でも、プログラムも覚えないといけないし、編み機の使い方も覚えないといけないので、覚えることがたんとあって結構難しいよね。」

研修期間中、1~2週間くらいは機械メーカーの本社の方が来て研修が行われるそうで、ニットのためのソフトや機械の動かし方を一から教えてもらうことなるが、あくまで研修ではここまで。この先の一人前まで道のりは長く厳しいそうだ。

川島メリヤス

ボタン付け等の針作業及び納品作業を行うのは、パートさんの仕事だ。
この場所で、ネーム付け、畳み、検品、梱包といった作業が行われている。

「パートさんに関しては、難しい仕事はあんまりないかな。製品を作るわけではないので、針が使えて、ミシンが使えれば十分。ミシンの経験は必要だけど、普通の女子ならできる作業だと思う。」

川島メリヤス

ここで働く魅力は?

「機械やソフトが特殊だから、どこかで活かせる技術かって言うと難しいところかな。ただ、ブランド好きな方にはいいかもしれない。国内のハイブランドはほとんどやってるから。」

確かに工場を見学させてもらうと、有名ブランドのタグが付いた服がそこら中に無造作に並んでいて驚いた。

川島メリヤス

川島メリヤスの従業員は、現在14人。そのうち社員は10人。
もちろんここで何十年も働いている方も多い。

一緒に働いている方、これから働く方、どういった点を見て採用を決めていますか?

「人柄かね。あとは、やっぱりやる気のある人。それはどこでも同じだろうな。編み物が好きで、自分で編んでるような子は、仕事覚えるのも早いと思うから、そういうのはいいかもな。」

川島メリヤス

ここで働いて3年になる、若手の関川さんにもお話を聞いた。
関川さんは、メリヤスの産地でもある新潟県の出身。以前は、ブランド側でアシスタント業務をしていたそうだ。

こちらで働くことになったきっかけは?

「元々いたアパレルさんの専属ニッターさんからの紹介です。ニットの勉強をしたかったのと、自分でブランドを作ってセレクトショップに卸したりしていたんですけど、組織の中に入った方がまだまだ学べることが多いので、若いうちは色々と学んだ方がいいかなと。」

川島メリヤス

実際に働いてみてどうですか?

「注文が多いので、業務時間中はバタバタはしてますが、終電になったり遅くまでやるようなこともないので、ONとOFFがしっかりしてると思います。」

関川さんから見て、川嶋社長の印象は?

「仕事マンという感じですね。どんと座って指示だけ出してる人ではなくて、いつも現場で動かれています。怒鳴ることも多いですが、コミュニケーションの一貫みたいな感じなので、それは嫌な感じはしません。根はたぶん優しい方なんだと思いますし、面倒見はいいですよ。」

川島メリヤス

この仕事は、どんな方が向いていますか?

「ニットって決まりがなくて、目の大きさとか、編み方一つ一つちょっと変えるだけで、すぐ傷が出来ちゃったりすることがどの工程でも多いので、繊細なんです。だから、雑な人よりは繊細な人がいいかなと。」

「それに、まず一発で綺麗に編めることってないので、何回もトライして作り直さないといけません。気が長いというか地道に作業できる人が向いているかなと思います。根気はいりますね。」

川島メリヤス

仕事も取引先も増えている理由をたまたまだと話していた川嶋社長。
実際、それだけなのかさらに詳しく聞いてみた。

「この業界、繋がりがすごく強くて、1社やったらその仲間から『うちもやってよ』って次々に依頼が来たり、ニッターさんが潰れてこっちに依頼が来たりとか。機械も特殊だしやってるところが少ないから、この業界にいる人は、大体うちのこと知ってるしね。」

「機械屋さんに編み地のサンプルがたくさん置いてあって、アパレルさんはそこを見に来るんだよ。そこで、この機械はどこの会社が使ってるかを聞くから、そうするとうちの名前が出て仕事が来る。」

取引先を選ぶ基準みたいなのってありますか?

「やっぱ人間性だな。波長が合うかどうかで、付き合いやすいところの方が、結果的には良くなることが多い。うちは大体どこの仕事でもこなせるから、そういう点では波長が合えばどこでもやるよ。あとは、一枚あたりの利益を取らないとうちの体制だとやってられないから、少ない量を高く買ってもらいたい。小ロット多品種だよね。」

川島メリヤス

今後の会社の目標を聞いてみた。

「新しいことや今と違うことをするってよりも、今やってることをちゃんとやって、このままやっていければいいかな。何かを変えていくとかは今はない。ただ、町工場の辞めてくところって、設備投資してないところなんだよ。」

「うちも『機械このままでいいや』ってなると、どんどん設備古くなって仕事が来なくなるよね。新しい機械があるから仕事も来る、そしたらまた新しい機械が買える、という相乗効果を一回断ち切っちゃうと、そこで終わる。機械を買うために仕事してる感じもするけど、結果それが仕事に繋がってる。利益が出てる会社ってのは、比較的新しい機械が入ってると思う。」

逆に古い機械に価値が出たりすることは?

「古い機械もうーんと古くなると、それはそれで価値が出る。そういう機械はもう生産してなくて、その機械がないと作れない商品もある。でも、そうなるには相当時間を要するし、これもたまたまだよな。」

川島メリヤス

お話を伺って意外だったのが、多くの企業が下請けから脱却しようとする中、そういった新しいことをやるつもりはないときっぱり。

その理由を川嶋さんは、こんな風に話してくれた。

「うちのやってるお客さんのほとんどは、メイドインジャパンにこだわってるところばかりで、セーターなんかも一生着れるものが多い。何十年も前の古着が今でも着れるみたいに、今の服が数十年後にも着られるようにって想いで作ってるブランドが多くて、そうゆう想いを受けてその想いを形にできるように作ってる。だから、自分たちで何かをしようってよりは、ブランドが望む物を形にし続ける、それが大事だと思うよ。」

そんな想いに共感できる方は、ぜひ、応募してみてください。

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