町工場の可能性 株式会社 浜野製作所
こちらの求人は募集が終了しました。
ご応募ありがとうございました。
「赤い加工屋さんが、何かを打ち出して新しい人を呼びこんでるぞ、そこに行ったら何かできるんじゃないかって、『期待感』が浜野製作所の浜野製作所たる所以な部分なんです。」
墨田区の工場は減少の一途を辿る。1万社以上もあった町工場も、今では3000社あまり。
そんな状況を打破すべくこれまで下請け企業だった浜野製作所は、ここ数年で次々に新しい取り組みを打ち出し、そして果敢に挑戦し続けてきた。
地道に長年積み上げてきた技術や経験は、どこにも負けない。
あそこなら何かやってくれそう。そんな期待感がここにはある。
モノを作るだけでなく、世の中にワクワクを作る町工場。
今回はそんな浜野製作所で、営業スタッフを募集しています。
住宅地に突如現れるテーマパークのような赤い建物。
墨田区八広にある株式会社 浜野製作所は、昭和53年創立の精密板金加工、プレス加工、溶接といった金属加工を少量多品種で生産する金属加工メーカーです。チタン製の医療用インプラントパーツや通信機器コネクタなどの精密部品から、機械装置の架台・筐体、店舗用什器などの大型製品とジュエリーボックスなど身近なものまで、幅広いジャンルの薄板金属製品の設計と製作を請負う。
近年取り組んでいる『浜野プロジェクト』は、従来の下請け仕事だけをこなしていた町工場の枠を超え、一般の方にも広く門戸を開いたことでモノを作りたいアイデアを持った人が、そして働きたいという人が次々とここへ訪れるようになった。
3Dプリンターやレーザーカッターといった最新のデジタル工作機器を備え、熟練した職人が製品開発や加工を支援するモノづくりの総合支援施設『Garage Sumida』をはじめ、『江戸っ子一号』といった産学官連携による新しい事業への進出、将来のモノづくりを担う子供たちへの職人体験プログラム『アウトオブキッザニア』、地域産業の廃材を配財にかえる『配財プロジェクト』など、様々なプロジェクトを展開することで、将来的に新しい町工場のビジネスモデルを創出する。
今回募集する営業部で働く山下さんに、お話を伺ってみる。
「当社はインターンシップをやってまして、僕も大学生の頃に社長の浜野と出会いました。大学を卒業してからは、部品の通販会社を経て当社に来ました。」
「品川の飲み屋で社長に『町工場で働きたいんです』と伝えたら、『じゃあうち来いよ!書類用意しとくから!』って、そんな感じでした。」
同じく営業部の村井さんにもお話を伺う。
入社は、去年の7月なのでまだ入って半年くらいだそうだ。
「大学卒業して、大阪から東京に出てきて旅行会社で営業をやってまして、そこを辞めてハローワークでおもしろい会社があるよってことで紹介していただきました。その際は、見学会に参加して工場を見させてもらった上での応募でした。」
2年ほど前から、お互い入社後にミスマッチがないように、入社前には必ず工場見学をしてもらっているそうだ。そして、本当にこの仕事がやりたいかやりたくないかを判断してもらった上で、応募してもらっているそうだ。
「父親が東大阪の町工場で働いてて、町工場のイメージってどこか暗いイメージがありました。なので、大丈夫かなって想いが多少なりともあったんですけど、この建物を見てすごいしっかりしてるところなんだなって安心したのを覚えています。」
二人が働く営業部の仕事は、メディアを見て相談に来る方に対するものが多く、どちらかというと『接客』に近い形の業務になる。
「製品があってそれを売るというよりは、お客様の作りたいものがあって、それを実現できるかって話になるので飛び込み営業するような営業ではありません。」
「ただ、専門的なところももちろんあるので勉強は必要ですが、我々も普段から接してるとは言えど、かなり専門的なこともあるので分からないこともあります。でも、階段降りれば現場ですから担当者の方に相談できますし、営業に同行してもらうこともできるので、未経験の方も安心です。」
10年ほど前から20~30代のスタッフが立て続けに入社し、平均年齢は35歳と町工場としてはかなり若い。若い方が増えた理由やきっかけがあったんだろうか。
「明確に何かということは基本的にはないと思います。ただ、新しいことに色々チャレンジしている会社なんだなってところで、新しい環境に身を置いてやっていきたいって人に応募していただけてるのかなと思ってます。」
従業員は全員で35名。そのうち営業が2名、営業業務が1名。
ここで働く人は、どの部署もほとんどが未経験からのスタートだ。それもトラックの運転手だったり、印刷関係の仕事だったりと全くの畑違いの方ばかり。
「どちらかと言うと、経験者で凝り固まった知識とかを持って来られるよりは、まっさらな状態の方が良いというのが会社の方針ですね。経験の有無は全く問いません。」
そういった未経験の方を採用する際の判断基準ってありますか?
「うちっぽいかどうか…。やっぱり人柄ですね。能力は後でついてきますから、興味のアンテナがいっぱいあって営業以外のこともやりたいってやる気のある方が向いてると思います。日々、同じ日はないのでジェットコースターのような日常を送れますよ(笑)」
どんな方と働きたいですか?
「仕事の面では、営業といっても他のプロジェクトにも参加して欲しいので、ただモノを売りたいんだとか、数字だけ追っかけてあとは知りませんっていうよりも、なんでも興味ありますって方がいいんじゃないかなって思います。」
「それと、イベント事は多いのでそういったことが好きな方。隅田川の花火大会の時は、屋上でバーべーキューやったり、花見に行ったり。自分の仕事だけやって帰りたいって人には合わないと思います。あと、この赤いジャンパーを着るのが嫌じゃない方ですね(笑)」
印象に残っているお客さんっていますか?
「いっぱい印象に残ってますし、お客さんも良い意味で濃い方が多いですね。なのでこれ!というのは難しいです。」
そういった仕事を受けて失敗したことは?
「サクッと行けるだろうと受けたら、現場の方がすごく苦労してたりすると『ああ、しまったなぁ』というのはあります。結局、僕らはモノを作る人間ではないので、実感値として分からない部分もあって、そこはジレンマだと思うこともあります。」
会議室にあるポスターは、実際の様子を漫画にしたもので、従業員が自ら発案し作成している。こういった遊び心ある自由な取り組みもこの会社らしさだ。右にいるスナイパーのような男性が営業部長なんだそうだ。
このワンシーンのように営業と現場で相談することも多い。そのため、営業の方も研修期間中は工場で現場の方と一緒に働いてみて、コミュニケーションを取る。そうすることで、お互いに人となりが分かり今後営業していく中で、相談しやすい関係性が築いていけるそうだ。
半年前に入社した村井さんもそれを経験したばかり。
「1か月くらいは色んな部署を回りながら、現場を経験させてもらいました。全てを体験ってのは難しいので、覚えるというよりかは会社の雰囲気を知るという部分が強いですよね。」
「うちの現場の人って、工場見学を年がら年中引き受けていて、外の方が来られることが結構あるので、説明に慣れていらっしゃってとても分かりやすかったです。だから、ここに入って製造業のイメージってのはそこでまず良い方に変わりました。」
村井さんが言うように、取材で工場に訪れるとどの従業員さんも元気に挨拶をしてくれ、工場は驚くほどに整理整頓がされており、ゴミ一つ落ちていない。多くの方が持つ町工場のイメージとは全く違う。
なぜこの会社は、従業員の意識がこれほどまでに違うのだろうか。
「なんで工場がこんなに綺麗で、スタッフが挨拶してくれて、知らない人に協力的かと言うと、浜野が毎日毎日繰り返し長年かけて言ってきたからなんだと思います。そうやってできた従業員の人柄が、うちの会社の全てを作ってると言っても過言ではありません。」
さらに、他の工場との大きな違いは、なんと言っても赤を始めとしたカラフルなカラーリング。
製造業のテーマパークを目指したという工場は、工場らしくないド派手な建物、従業員は遠くからでもすぐに分かる赤いジャンパーを全員着用している。
この会社にとって『色』にはどんな意味があるんだろう。
「当社も一般的な町工場と同じで、薄暗い中で地味な作業着を着てもくもくとやっているような感じでしたが、それだと人を募集した時にその人が入りたいと思うかって言うと、ちょっと入りづらかったりしますよね。そういったイメージを変えたり、印象に残るという意味で赤で統一しています。」
今や小さな町工場から大きな加工会社まで1000社以上の協力工場と手を組む。
周辺の工場も巻き込み地域の活性化にも取り組んでいるが、それでも墨田区のモノづくりの企業は年々少なくなっている。
今の墨田区の状況は、浜野製作所から見てどうですか?
「良いか悪いかで言うと、やっぱり良くはありません。それを我々が食い止められるわけではありませんが、少しでも周りの会社さんと協力できたり、モノを作りたいってアイデアを持った人と実際に加工機を動かせる人が、くっついて産業が生まれて仕事にできればと思っています。」
「我々も図面が何社も経由して来ることがありますが、発注元と直接繋がりたいし繋がれるようになれば、ちゃんとした利益が取れるし直接相談してもらえます。今はそういった形でモノを作る源流の人と一緒に仕事をしたいなというのは、大きな目標です。」
モノづくりも地産池消を掲げる浜野製作所。
地域が持つ資源を積極的に活用しているが、墨田区を代表するモノづくり企業としてこの先目指すところはどんなところですか?
「モノを作るとしたら地方に工場がある方が、地代も人件費も安く土地もあるのでモノをいっぱい作れます。東京ってところはモノを作るって視点では、量産に向いてなかったりしますが、情報の集積地ですから相談しやすいとか情報があるって観点では、チャンスは多いと思います。」
墨田区では、業種がバラバラでライバルになることが少なく、協力していく関係が成り立っている。そのため、どこかが潰れてしまったらお互いに困るそうだ。
「商店街的な発想で、肉屋さんと魚屋さんと八百屋さんと惣菜屋さんがあったとしたら、この商店街に行ったらカレーライスが作れる。そんな風に、加工屋さんと革屋さんとメッキ屋さんと塗装屋さんがある墨田区なら、商品が作れるわけです。でも、商店街で何かが潰れたとしたらスーパーに行こうってなるのと同じで、墨田区も全ての加工ができなくなったら違う地方に仕事を取られてしまいます。」
「そうなると墨田区にとっても機会損失なので、Garage Sumidaもそういった観点でできたんです。あそこに人が集まればその周りも仕事が回って、結果として墨田区が成り立つと。」
最後に、お二人の目標も伺ってみる。
まずは村井さんから。
「まだ入社して半年で、これだけ色んな仕事をさせてもらって自分の成長にもつながるなと思ってるんで、まずはこの浜野に拾ってもらったことへの恩返しができるように、売り上げの面も含めて貢献していきたいなと。で、会社を大きくしていきたいなと思っています。」
山下さんはいかがですか?
「最近モノ作りってワードは、もてはやされてる感じがしますが、じゃあモノを作ってる人がその恩恵を受けてるかというと、僕はそうじゃないと思ったんでこの会社にきたんです。モノを作って実際に手を動かしている人が、評価される世の中になって欲しいなってのがあるんですね。うちの会社の人かもしれないし、周りの墨田の中で頑張ってる人かもしれませんが、評価を受けるような世の中になったらいいなと思います。」
近年、モノづくりの注目は高まりつつある一方で、後継者不足で技術を引き継ぐ人がいなかったり、十分にその魅力を発信できていない部分が多く、現状はまだまだ問題点が多い。しかし、浜野製作所にはそれを解決する勢いとパワーがある。まずは工場を見学して、それを肌で感じてみて欲しいと思います。
モノづくりの中小企業を浜野製作所で一緒に盛り上げていきたい、元気にしたいという方は、ぜひチャレンジしてみてください。