金型職人のあらたな挑戦 岩井金属金型製作所
こちらの求人は募集が終了しました。
ご応募ありがとうございました。
プレス加工された製品は、私たちの身近に数多く存在する。
プレス加工とは、同じ品質の製品を安く、短時間で大量生産する加工技術で、
プレス加工するには、プレス金型と呼ばれる金型が必要だ。
つまり、金型の品質が製品のクオリティを左右するといっても過言ではない。
そんな金型を作る職人は、年々その数を減らしている。
もちろん金型が別のものにとって変わっているわけではない。需要はあるにも関わらず、作り手がいない。手間と根気のいる仕事を率先してやりたがる人が少ないのだそうだ。
墨田区八広に区内でも数少ない、金型職人が働く工場がある。岩井金属金型製作所だ。
今回は、この工場が金型職人を目指す正社員を募集されています。
京成曳船駅・東向島駅から徒歩7分のところにある岩井金属金型製作所は、別の地域で一度東京大空襲により工場を消失したが、今の工場も昭和10年創業の歴史ある工場だ。概観は一見すると、プレス加工が行われているような雰囲気はなく、周りの住宅ともよく馴染んでいる。
八広という地域は、墨田区でも特に工場の多い地域だが、八広の中でもこのあたりは金属加工の工場が特に多く、こういった見た目には分かりづらい町工場が数多く点在している。
工場に入ると、土曜日でフルに工場が稼動していなかったためか、思ったよりも静かな印象だ。
年季の入ったものから最新のものまで、10台以上の機械がところ狭しと並んでいる。
息子であり代表取締役の岩井保王さんに、今回の募集について伺ってみた。
「金型はモノを作る上で必ず必要なもので、注文が減っているわけでも需要がないわけでもありませんが、作りたい人がいないんです。金型職人と呼ばれる方は、もう墨田区内でも数えるくらいしかいないんじゃないかな」
「単純作業の繰り返しの時もありますし、思ったような形にならない時もあるので、非常に根気のいる作業なんです。だから、好きな人じゃないと続けるのは難しいしやりたがらないです。でも、私はこの仕事に誇りを持っているので、工場も残していきたいし、金型職人も残していきたいです」
岩井金属金型製作所は、1990年頃は化粧品のケースとライターの筐体用の金型が中心だったが、その頃は生産が下降傾向だった。
「その頃は、仕事がどんどん減っていたので営業をやるようになりました。でも、近隣だと同業種の仕事を取るようになるので、人の畑を荒らすようなことはやめようと決めていたんです。だったらということで、遠方のゴム製品やプラスチック、鋳物など、プレス業界ではない機械加工を回ってプレス加工でできることはないか聞いていきました」
「すると、自分たちなら解決できる悩みを抱えているところがけっこうあるんです。プレス加工ってコストパフォーマンスがよくコストダウンに繋がるので、例えば、1工程30円くらいかかっていたところが、5円とかにできてすごく喜ばれたんです」
「そこから色んな業種のところへいってプレスを試すということがうちの社風になりました。難しいことでもお客さんが欲しいと思うなら、何か糸口がないか考えるようにしています」
従業員は、お父さん、奥さん、パートさんの4人。
お父さんの巳代治さんは74歳と高齢にも関わらず、まだまだバリバリの現役だ。
パートさんも数ヶ月前に入ったばかりだという。
「たまたま、カミさんが昔の同級生と再会するきっかけがあって、手伝ってもらうことになりました。女性の方ですが、モノを作ることが好きで何をやってもらっても楽しいって言ってくれるので、プレス加工もやってもらってます」
それまでは、家族以外で人を雇ったことはなかったそうだ。
「人に作業を教えたり、指示することってやったことはありませんでしたが、パートさんとはじめて一緒にやってみて、人に教えることも嫌いじゃないんだなと気づきました。自分が教えたことができるようになってくれると本当にうれしいんですよね」
「うちは、ガチガチのマニュアルがあるわけじゃないので、社長!マニュアルないとできません!という方だと合わないかもしれませんが、そこも受け入れて一緒にこうしたらいいよねというように試行錯誤してくれる方なら大歓迎です。」
工場内には、手動の機械だけでなく、CAD/CAMのプログラミングで自動的に加工する最新のマシンも。
CADなどの経験や知識は必要ではないですか?
「CADといってもそんなに難しい内容ではないですよ。入ってから覚えてもらう必要はありますが、経験や知識は必要ありません」
「でも、金型製作は、お客さんに販売できるようになるまでにはやっぱり10年くらいかかります。勉強すればいいというものではなく、体に刷り込ませて効率のいいやり方を学んでいかないといけません」
「好きだから色んな方向に目を向けて、色々と新しいことにもチャレンジして欲しいと思いますが、まずは普通に金型が作れるといった土台作りからはじめてもらえたらと思います」
この仕事で特に大変なことは?
「金型どおり作っても、そのとおりに仕上がらないこともあるので、何度も何度もやり直したり、せっかく作ったものが製品にならないこともあります。そんな時に、挫けず続けられる粘り強さが必要ですね」
「あとは、やっぱり怪我や事故が一番怖いです。今はお互いに声かけしたり、作業に入る前にどこが危ないかを確認するようにしているので、まずないですが、私も何度か怪我をしたことがあります」
「納品期限が迫っていたりもう少しで終わるって時が特に失敗しやすいので、残り少しで終わるという時こそ一度深呼吸するようにしています」
どんな方に来てもらいたいですか?
「モノを作ることが好きな方で、粘り強くコツコツと進めてくれる方ですね。そういった方なら女性でも大歓迎です。私は、趣味というとやっぱり仕事。だから、休日難民なんですよ。思ったよりも早く仕事が終わったりして急に時間ができると、何をしていいか分からなくなっちゃうんです。ここまで極端でなくてもいいですが、周りが見えなくなるくらい物を作ることに没頭できるような方が合っているかもしれません」
「人を雇うこと自体はじめてのことなので、体勢もしっかりと考えていかないといけないと思っています。きっと四六時中、僕らと一緒にいても息が詰まると思うので、そういったことも遠慮なく話し合えて、一緒に働きやすい環境を考えていけたらと思っています。今から昼飯は一緒に食べたほうがいいのか、別々にしたらいいのかカミさんと心配してるくらいですから」
インタビュー中に、岩井さんの娘さんが学校から帰ってきた。すると、慣れた手つきでそのまま工場の仕事を手伝い始める。作業中も今日あった出来事をお母さんと話し、笑い声が工場に響き渡る。家庭的で温かい、なぜだか懐かしい感じがする工場だ。
「隣の醤油を借りに来る感覚で、近所の職人さんが機械を使いに来ることもあるんですよ」
こういった家族経営のところは、ひとりひとりとのかかわり方も濃いので、合う合わないもあるかもしれない。ましてや下町なので近所の方との繋がりも大事にされている。そういった繋がりを疎ましく思う方もいるかもしれないが、一度馴染んでしまえばとても居心地がよさそうだ。
わずか2時間ほどの取材で、既に私は何年も前から知っているような居心地の良さを勝手に感じてしまったが、そのあたりの感じ方は個人差があるので、そこは一度工場でじっくりと話を聞き、自分がそこで働く姿を想像してみてほしい。
最後に、今後の工場をどんな風にしていきたいか聞いてみた。
「金型職人や工場を残していくことはもちろんですが、もっと新しいことにも挑戦していきたいです。それができる企業規模を目指しています。その第一歩が今回の募集になるので、一緒に会社を大きくしてくれる意欲ある方をお待ちしております。まずは一度、面接と思って固くならず気楽にお話してみましょう」
工場は随時見学可能のようなので、見学されたい方もまずは下記応募ボタンよりご応募ください。