2018.03.08(木)

ものづくりの責任 株式会社ミヨシ

こちらの求人は募集が終了しました。
ご応募ありがとうございました。

株式会社ミヨシ

すみだの仕事は、墨田区に限らず住んでいる人や、その地にゆかりのある人が地域の仕事を紹介できる『のしごと』プロジェクトをスタートしました。墨田区に限らず別の地域の取材もすみだの仕事が行うことで、別の地域へとこのプロジェクトを広めていきます。

今回『のしごと』が初めて取材に訪れた地域は、東京都葛飾区。
荒川を挟んで、墨田区の隣の地域です。

葛飾区も、明治の時代から東京を代表する工業集積地域の一つであり、日本のものづくりにおいて墨田区同様に欠かせない地域でした。大きな玩具メーカーがあり、それらの下請けとして板金やプレスをはじめとした金属製品の製造加工業で盛えてきました。

そして、皮革やゴム、プラスチック、繊維製品など、多種多様なものづくりがこの地にはありましたが、昭和54年のピーク時には8000社を超えた工場の数も、今では3000社ほどに縮小してしまいました。

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墨田区から荒川を渡り、葛飾区の町を少し歩いてみる。
訪れた西新小岩という地域は、葛飾区の中でも南部に位置し、墨田区に特に近いエリアです。

墨田区同様に、住宅地には今でもたくさんの町工場が見られ、1階が工場、2階が住居という昔からの構造も多いそう。こうした地域は、昼と夜での人口差が少なく、住む人と働く人が同じで地域との繋がりも強い。

住宅地に馴染むような淡いイエローの外壁をした建物は、プラスチック製品の試作や、製品を作るための金型製作を事業の柱とする『株式会社ミヨシ』です。2005年度に葛飾区優良工場の認定を受けています。

ミヨシの経営理念は『捨てられないものづくり』と『人の役に立つものづくり』。

1972年の創業以来、プラスチック製品の試作や、製品を作るための金型製作を事業の柱としている会社です。主に、自動車、OA機器、医療、ロボットなどの試作品や小ロット生産、研究、分析、評価試験用の試作品を受注生産しています。

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同時に、金型を用いたプラスチック製品の製造技術を活かし、クリエイターやベンチャー企業とのコラボレーションにも取り組んでいます。BRANCHというデザイン会社と製作した『Resiina(レジーナ)』という商品は、板チョコの形をした立体形状のサンプル。設計者と製造側の、サイズ認識のずれを解消するツールです。

機能性を持ちながらも、話題になり、身近に置いておきたくなる。まさにミヨシの理念である『捨てられないものづくり』を体現したプロダクトです。

「今は、石油由来ではなく植物性プラスチックでのものづくりを研究しています。地球環境を守りながら、本当に必要なものだけを作る会社にしていきたいです。そして、うちを見込んで声をかけてくださったお客さまのお役に立ち続けていくためにも、会社の規模を10年以内に2倍まで拡大したいと思っています」

2003年からミヨシで働き始め、2012年に2代目として会社を継いだ杉山耕治さん。

株式会社ミヨシ

入社前は、ごみ処理プラント関係の会社で、補修工事の現場監督を務めていました。そこで、東京中から集められたごみが埋め立てられていく光景を目の当たりにします。

「埋め立てたところで、ごみはなくなったことにはならない。この先、ごみの量を減らさないと、生物が生きていける地球でなくなる。そう実感しました」

「でも、自分が継ぐのは、いつかごみになる『モノ』を作る会社。それなら、製造過程で生じるごみやエネルギー量を減らし、できるだけ必要とされ、すぐに捨てられないものづくりをしたいと思ったんです」

その想いから、10年にわたって省エネ活動を続け、2016年には省エネ大賞省エネ事例部門の『中小企業庁長官賞』を受賞しています。

株式会社ミヨシ

今回募集をするのは、営業部門と製造部門の正社員、それと事務のサポートができるパートの方。

お客さまの要望に応えたいという想いに加え、忙しい中でも交代で休みをとり、業務を平準化して社員にとって働きやすい会社にしたいと、募集を決めたそうです。

実際、杉山さん自身もとても多趣味。サーフィンやスキー、野菜づくりなど、アクティブな趣味を楽しみながら、地域や他業種の方との交流にも積極的です。

まず、営業担当の業務について杉山さんに伺います。

「うちの仕事は、営業担当とお客さまの打ち合わせから始まります。打ち合わせで提示された図面や3Dデータから費用を試算して、見積書を作成します。そのためには、営業担当であっても技術的な知識が相当必要です。例えば、お客さまからの相談を受けたとき、この図面を形にできそうか、そうでないかなどがある程度判断することが求められます」

営業担当であっても入社後一年ほどは、製造現場で半日ほど働き知識を蓄えてもらうことになるそう。見積書づくりの補助や展示会への出展準備など、サポート的な業務を中心に経験を積み、少しずつ担当のお客さまを引き継ぐ予定だそうです。

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今、営業のお仕事も担当されている杉山さんご自身は、どんなときにやりがいを感じますか。

「最終的にいい製品ができた時ですね。初回の打ち合わせ通りに製作が進むことはほとんどありません。アドバイスしたり、意見を出し合ったりして『いいものを作る』という同じ目標に向かうことで、徐々にいい製品になっていきます」

「そのためにも、自分自身が常に勉強しなければいけない。日々成長を感じられることも自分にとってはやりがいです」

営業担当の方には、ゆくゆくは社長の右腕になってほしいと、杉山さんは話します。

「身もふたもない言い方をすると、社長のことを好きでないと難しいかなと思うんです。互いに、人として尊敬している同士なら、いざというとき助け合える」

「社長のことが好きってあいまいだし、難しい条件なのは話しながら解ってます(苦笑)。ただ、長年お客さまと築いてきた関係があるので、私と考え方の近い方に仕事を任せたいというのは本心ですね」

熱い想いを時折のぞかせながら、裏表なく、率直に話をされる杉山さんの姿はとても印象的です。

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続いて、製造担当のお仕事です。整理整頓が行き届いた工場を案内していただきながら、業務内容を伺いました。

「まず、図面やモデルをもとに金型を設計します。出来上がった金型を成形機という機械にセットし、金型に樹脂を流し込んで固め、完成品を取り出して仕上げるというのが、製造業務のおおまかな流れです」

「製造業は分業が基本ですが、この一連の工程を基本的に一人で担当してもらっています。成型機の操作までできるようになると、その人の技術も知見も広がるし、何より達成感が大きい。自分の人生に広がりを持たせるためにも、幅広く技術を身につけてほしいと思っています」

「最初は覚えることが多くて大変だと思います。私自身は20代半ばで入社したのですが、あと5年遅かったら、正直厳しかったなという実感がありますね…。ただ、今頑張っている社員のほとんどが未経験からのスタートなので、安心してください」

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未経験でも大丈夫なんですね。
では、製造部門に迎えたいのは、どんな方ですか?

「製造業とは違う業界で働いていたけど、やっぱりものづくりがしたいと覚悟を決めた方や、手に職をつけて自分の技術を高めたい方、そんな人に会いたいです」

「前職も学歴も一切問いません。実際、近年入社して定着した社員の多くが、そういうプロセスをたどっているんです。あとは、ものができたときに、うれしいと思える方ですね」

取材当日、現場で働かれていた小川さんにお話を伺いました。金型の設計から手がけるベテラン技術者。前職でも金型の設計から製作まで手がけていた、唯一の経験者です。

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「入社のきっかけは、3DCADを使った金型設計を手がけたいという思いがあったのと、この先も設計業務を続けるには、これが使えないと未来はないと感じて転職しました。杉山社長は、すぐに使い方を私に教えてくれてありがたかったですね。何とか身につけようと頑張りました」

「金型は、4、5日で完成する場合もあれば、複雑なものだと1か月かかることもあります。一人で仕事を進めるには、社内の機械を全て使えるようになる必要がありますが、この加工の場合はどの機械をどのように使えばいいかといった判断力を身につけられるよう、全力でサポートしたいです。今、会社で頑張っている若手社員は、ものづくりが好きで我慢強い子が多いですね。そういう子は伸びますよ」

やさしい笑顔が印象的な小川さんですが、本音の部分も語ってくれました。

「自分たちの教え方が悪いのかもしれないけど、育った若手が辞めてしまうのは仕方ないと言い聞かせながら、やっぱり残念です。全員で一人前の職人に育っていけたら、会社の売り上げにもつながるし、より仕事にやりがいを感じられると思います。そのためにも、丁寧に自分の技術を若手に伝えていきたいです」

事務所で設計業務を行う、入社11年目の宮谷さんにもお話を伺いました。

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「大学卒業後は、映像や音楽を作る仕事をしていました。でも、30歳を前に生活の基盤を固めたいと思ったんです。手先の器用さには少し自信があったので、ものづくりに携われる会社を探しました」

「入社して1年ほどで、金型の製作から製品の完成まで、表面的に一通りの工程はなぞれると思います。ただ、ものづくりは本当に奥深い。どれだけ腕を磨いて追求しても、ゴールが見えないです」

仕事をしていてうれしかった瞬間について伺うと、自然と笑顔がこぼれます。

「自分なりにチャレンジして成功した瞬間ですね。先日、手作業では2日以上かかる加工を、ある機械で試したら30分で出来上がったんです。あれはうれしかった。その経験が社内に共有され、次に類似案件が来たときの選択肢が増えることもうれしいです」

「完成までのアプローチはひとつじゃないし、実際作ってさらにそこから試行錯誤するので、この仕事をしていると思考力は鍛えられますね。先輩のやり方を教わったら、次はそれを踏まえて別の方法を模索して。その過程も楽しめるといいですよね」

今回の社員募集についての気持ちを伺いました。

「社長も話していると思うのですが、仕事量に対して人手が足りていません。これまで後輩を育てる余裕がなかったために、複雑な案件には中堅以上の社員が対応せざるをえないんです。今回の募集は、みんなが働きやすい職場環境を整えて若い技術者を育て、より会社が成長するためだと思います」

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もう一度、杉山さんにお話を伺います。
今回は、事務担当をサポートするパートの方も募集されますよね。この部署には、どんな方を求めていますか?

「今、パートの方には、出来上がった製品の検品・梱包や、製造現場の補助をお願いしています。特別な条件はないのですが、変化に気付きやすく、柔軟な方に来ていただけるとうれしいです」

「うちは、お客さまの求めに応じて、製造のスケジュールを変更することも多いですし、工程が計画通りに進まないこともあります。そんなときも、臨機応変に対応できる方だとありがたいです」

仕事に対してストイックな姿勢で臨みながら、社員の働きやすい環境を整えたいと考える杉山さん。この先の目標は、まずメリハリをつけた働き方ができる会社にすること

「例えば、休日が年間105日というのは、かなり少ない方です。納期はずらせないので、まず週1の休日を確保して、仕事の進捗に合わせて出てもらっているのが現状ですが、これから社員数を増やして体制を整え、ゆくゆくは120日まで増やしたいと思っています。今は、有給奨励日を設けたり、祭日は、社員が半分ずつ出るシフト制にしたりして、できるだけ休みを取りやすくしています」

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体制を整え休日確保することはもちろん、働きやすさを感じてもらえるようにすることも大事だといいます。

「先日、会社の行動指針をまとめるため、働く上で大切にしていること、これから大切にしたいことを社員に挙げてもらったんです。一番多かったのは『協力』だったので、これからも積極的に声かけをして、助け合って仕事をしたいという思いを感じました。他には、信頼や人間関係を大切にしたいという意見も多く、職場の風通しの良さも求めていたのでそのあたりも改善していきたいと思っています」

社員が求める風通しの良い職場をハード面でも実現するため、多額の費用を投資して2018年4月以降から社屋をリノベーションする予定です。2階の事務所は、なるべく全体を見渡せるフラットな空間にして、女性用の更衣室とトイレも新たに設けるそうです。

ここまでコミュニケーションを大事にするのはなぜでしょうか?

「年次や役職を問わず、どんな発言でも受け止める雰囲気は大事にしています。いつも社員には、昼食はみんなでとってもらうことと、あいさつは欠かさないことをお願いしています。たとえ誰かと気まずい雰囲気になっていたとしても、最低限あいさつをしてリラックスした食事中に少しでも話ができれば、大きな問題にならずに済むと思っています」

お昼になれば事務所で働いていた方も、工場で働いていた方も、全員が食堂に集まり仕出し弁当をみんなで食べる。たわいもない世間話でリラックスすることもあれば、仕事の困りごとをここで相談することもできる。

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地域や他業種とも関わりの多い杉山さんは、これまでにない新たな展開にも積極的です。昨年は、葛飾区を飛び出して墨田区のとあるイベントに参加したそうです。

「同じ業界以外の方たちにも自分たちの仕事を知ってもらいたくて、昨年は金属加工のワークショップを3回自分たちで開いたんです。そうしたら、以前から仲の良かった墨田区の工場の方や運営の方が一緒にやろうと誘ってくださり、墨田区のオープンファクトリーイベントに加えていただきました」

「葛飾区なのにいいのかな。と思いつつ参加しましたが、墨田区の町工場または企業のみなさんが自主的に活動する姿に刺激を受けましたし、一般の方に自分たちの技術を紹介できる機会はとても貴重でした」

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最後に、社員にとってこんな会社にしたいという想いがあれば、お聞かせください。

「社員のためにも、社会の役に立っているという実感を持って働ける体制を作っていきたいです。うちの社員は『自立』というキーワードを意識しながら仕事をしてくれていて、いつも心強いです。そんな社員のためにも、働きがいを感じられる会社にしたいですね」

『捨てられないものづくり』『人の役に立つものづくり』を目指す、ミヨシの熱い想い。今回の採用では、そんな想いに共感し、一緒に働きたいと熱意のある方を求めています。

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